田辺会長定例記者会見

平成21年03月19日

冒頭、上野専務理事より、DVD「やさしい信託のはなし〜信託のしくみと役割〜」の紹介があった。

会長として1年を振り返って

信託協会長の田辺でございます。昨年4月の会長就任からまもなく1年になります。皆さんのご支援に対しまして、まずは厚く御礼申し上げます。本日が会長として最後の会見となりますので、この1年間を振り返り、就任の際に申し上げたこととの関連で2点ほどお話したいと思います。

まず1点目は、私は就任の会見の時に「本格的な少子高齢社会を迎える中で、個人の財産管理、資産の承継に資するような信託の研究・開発も進めていきたい」という主旨のことを申し上げました。今年度、信託協会では21年度税制改正の主要要望項目として「事業承継税制の信託への適用」ということを掲げてまいりました。要望活動の結果、与党の税制改正大綱の検討事項に「(『中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律』において)株式と実質的に同一視できる信託受益権の範囲を法令上明確にした上で、納税猶予制度の適用に係る検討を行う」旨記載いただけました。検討事項ということではありますが、意義ある結果が出せたと考えています。

また、同じく就任のときに「『信託制度に対する信頼』を守り、その健全な発展に尽力したい」ということも申し上げました。 今般、金融商品取引法に定める認定投資者保護団体の認定申請を行い、苦情・紛争解決の手法を改善し、さらに再発防止体制を強化することとしました。 このように、信託の利用者及び投資者の保護を通じ信託業界の健全な発展のために努力してまいりたいと考えています。

最後になりますが、信託協会会長会社の務めは、4月に三菱UFJ信託銀行に引き継ぐことになりますが、今後とも信託協会の活動に対して、ご理解、ご支援いただきますよう、よろしくお願い致します。

金融ADR

問:
ご挨拶の中にもあったが、金融ADR(金融分野における裁判外の苦情・紛争解決支援制度)の整備に関する信託協会としての取組みは、具体的にどういう状況か。
答:
基本的には、信託の利用者保護を目的として、昨年6月から金融商品取引法上の認定投資者保護団体の認定取得に向けた検討を行い、この3月5日に金融庁宛てに認定申請をするに至った。これが主な活動である。

金融危機対策

問:
この金融危機に絡んで、先日の日銀の劣後ローンの引受け検討であるとか、銀行の株式買取再開、公的資金を含め、かなり体制整備がされてきているが、対策の取られ方、質とか、規模とかどのように評価されているか。まだ足りないとか。
答:
どのくらい使われるかというのは、個別の判断によるもので、足りなくなると明言するのは難しいが、いずれにせよ、予備あるいはセーフティネットとして新しい選択肢が増えるということは、大変意義があることだと思っていて、歓迎している。

景気認識

問:
現状の景気認識であるが、株は足元では下落に歯止めがかかっているような状況だが、今後、3月を越えて、新年度入りしたときに、企業の業績が厳しくなるのではないかという見方もあり、当面の金融市場を含めた景気認識はいかがか。
答:
景気と株を分けて、お話させていただく。昨年の10〜12月に実質経済成長率は年率換算でマイナス12.1%だったかと思う。第一次石油ショック以来の大きなマイナス幅だったが、この主因は、輸出の不振だといってよいかと思う。輸出の不振が主因ということは、わが国の輸出相手国である欧米諸国ないしはアジアの国々の景気回復が日本の景気回復にとって、大きなファクターとなることになる。とはいっても、輸出ばかりに依存していては、困るので、今後、財政支出、真水で12兆円あるので、これを有効に使っていただいて、内需を育てるということが重要である。こういうことを総合的に考えたうえで、景気回復はおそらく来年度いっぱいは無理だと思う。再来年くらいから、少し明るい兆しが出てくるのではないかと考えている。また、株については、あまり株価の予想を言うのは好きではないが、企業業績の下方修正したものが、4、5月になると出てくると思うが、その動向いかんではないかと思う。

投信販売の見通し

問:
株価が持ち直ったが、投信販売の見通しを教えてほしい。
答:
投信販売は、株価が底を打ったという状態にならないとなかなか本格的には回復しないと思う。まだ、期を越えないと明確なことは言えない。
問:
期を越えると明確になると。
答:
何でそう言ったかというと、今度の3月の企業決算が明らかになり、それをもって、底を打ったのか、打たないのか、ある程度は判断できるようになると思う。

銀行経営

問:
景気の見通しの話があったが、そういう見通しを受けた銀行の経営はどうあるべきか。
答:
少なくとも、今の段階では、まだ、来年度、景気が回復するという感じではないので、少し我慢。慎重に、もちろん、社会的に要請のある仲介機能をどうするかということは別であるが、一般的には、少し積極性を抑えるというか、守りの経営をするということかと思う。
問:
信託銀行によって、それぞれビジネスモデルが違うと思うので、一概には言えないと思うが、信託銀行としてどうするかというのはあるか。
答:
特に、信託としてどうのこうのというのは、景気対策としてはないが、信託としては、信託の利用者保護に力を入れて、信託の健全な発展を図るということかと思う。信託銀行として、何か不況に対する方法があるかということについては、それほど、収益対策として新しいものはないと思う。

不動産の見通し

問:
不動産の見通しはどうか。
答:
不動産は、基本的には、積極的に土地を仕入れてきた人は、今は在庫は高水準で、一方で借入れは過多。銀行から見ると、どうしても融資に慎重にならざるえない状態になっている。皆そうかというと、外国の投資家で、日本の不動産は、基本的には買いスタンスで、資金はあるという人はいる。だが、現在の日本の不況下で、空室率は上がっていて、賃料は下がっている中で、もう少し待ってみればもっと安くなるのではないかと、買い控えが起きている。資金がない人は買わない、資金がある人は買い控えで、この状況はもう少し価格調整が進まないと解消されないと思っている。おそらく価格調整が起きて、売り買い双方の価格水準が合致し出すのは、来年の下期ではないかと思う。

貸し渋り対策

問:
金融庁が来月から貸し渋り対策として集中検査を実施するとのことだが、どう受け止めているか。
答:
現状は金融機関の金融仲介機能が十分に発揮されるということが、社会的要請の一つであるが、こうした現状を鑑みて、おそらく金融機関と検査当局との目線合わせをしたいということが趣旨であって、個別の貸出に口を挟むということではないと思っている。

自己資本比率

問:
自己資本比率の規制を強化しようという動きがあるが、これについては、どう考えているか。
答:
自己資本については、こういう状態なので、多い方がいい。ただ、規制だけ強化しても自己資本を実際に充実できなければ、意味がないが、それに対する方策もいろいろ打出されているので、よろしいかと思っている。

以上

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