中野会長就任記者会見

平成26年04月02日

冒頭、上野専務理事より、本日開催された理事会において、信託協会の新会長にみずほ信託銀行 中野武夫取締役社長が互選により就任したこと、また、新副会長に三井住友信託銀行 常陰均取締役社長が、新一般委員長にみずほ信託銀行 澤和久常務取締役がそれぞれ就任した旨の紹介を行った。

続いて、第89回信託大会を4月16日(水)午後3時から経団連会館にて開催し、金融担当大臣と日銀総裁にご挨拶をお願いしているほか、東京大学の伊藤教授に「日本経済の復活と信託への期待」と題する講演をしていただくことになっているので、記者クラブの方々にも是非出席いただきたい旨案内を行った。

また、平成26年度の信託研究奨励金の募集を開始したことについて説明を行った。

会長就任の抱負

このたび、信託協会会長に就任いたしました中野でございます。
  これから1年間よろしくお願いいたします。
  就任にあたりまして若干の抱負を申し述べたいと思います。

信託制度はわが国社会経済の重要なインフラとして発展を続けており、信託財産残高は昨年12月末には831兆円、過去最高の水準となっております。
  このように信託が発展を続けている背景には、「信託」の特性、すなわち、「柔軟性に富み、新しいものを生み出していく力を備えていること」があると考えております。
  抱負として第一に申し上げたいことは、こうした信託の特性を活かし、信託機能を十分に発揮することにより、経済・社会の発展・成長に貢献すべく努力して参りたい、ということでございます。

具体的には、次の二点に取り組んで参りたいと考えております。

まずは、日本経済の持続的な成長に向けて信託機能を発揮していくことであります。
  個人金融資産の『貯蓄から投資へ』の流れを促進するとともに、インフラ整備・震災復興等の分野において信託機能の活用を図ることにより、日本経済の活性化・成長に貢献して参りたいと存じます。
  次に、社会・経済環境の変化を背景とした社会的課題へ対応していくことであります。
  少子高齢化の進展などを背景に、「遺言信託」のご利用が増加を続けております。このほかにも「遺言代用信託」や「教育資金贈与信託」、「後見制度支援信託」など、資産承継や財産管理に関する様々なニーズから、信託の活用範囲が一層広がりを見せております。
  このような社会・経済環境の変化を背景としたニーズに対して、 的確な商品・サービスをご提供するとともに、コンサルティング機能も十分に発揮し、しっかりと対応して参りたいと存じます。

以上のような取り組みにおいてしっかりと成果をあげるため、われわれ信託の担い手一人ひとりが新たな信託領域の開拓や利便性の向上に向けて創意工夫に努めるとともに、信託協会としても税制改正や規制改革等の要望・提言を積極的に行って参る所存でございます。

抱負として第二に申し上げたいことは、信託に対する『信頼』の向上に努めて参りたい、ということでございます。
  信託機能の活用が多方面に広がっており、信託に対する期待が益々高まりを見せている中、信託の担い手である我々は、こうした期待に対して高い専門性でお応えしていくのはもちろんのこと、今日的目線に立ってより高度な「受託者責任」を果たすことによって、信託に対する『信頼』の一層の向上に努めていかなければならないと考えております。

以上、信託協会会長としての抱負を申し述べさせていただきました。引き続き信託協会の活動につきまして、ご理解、ご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

以下、質疑応答

景況感

問:
 昨日、日銀から短観が示されたが、昨日の消費税増税も踏まえて、足元の景況感とこの先の見通しについてお伺いしたい。
答:
 足元の景気動向については、緩やかに回復してきているとみております。昨日発表されました日銀短観においても、足元の景況感は改善してきているという結果が示されています。先行きについては、慎重な見方をしている企業が多いと思いますが、景気判断DIは引き続きプラスでもありますし、低い水準ではないと判断しています。景気の先行きについてみれば、4-6月期は消費税の税率引上げの影響等もあって、マイナスの影響が出てくると思います。7月以降につきましては、足元の景気動向、政府の経済対策、米国の景気動向等を総合的に勘案しますと、回復に向かっていくのではないかと思いますし、そういうことを期待したいと思っております。

教育資金贈与信託

問:
 昨年の4月に教育資金贈与信託が始まって1年経つということで、1年を振り返られてどういったご感想を持たれているのか、そして、これは時限措置だと思うのですが、今後の見通しを含めて、どのように考えられていらっしゃるのか、改めてお伺いしたい。
答:
 教育資金贈与信託は、昨年の4月にスタートして、大変好評をいただいております。この2月末の数字で申し上げますと、件数で約62,000件、金額として約4,100億円という実績でございます。こうした非常に高いご支持をいただいたということは、一つは祖父母の方からお孫さんの方々へ、想いを形にして表すといったところが、大変広くご支持いただいたことの背景と思っております。また、経済的な効果という観点からしましても、資産の世代間移転が起こることによりまして、親の世代の負担が軽減され、それが消費に回るというプラス効果もあります。また、より幅広く申し上げれば、人材の育成、教育の充実といったことにも繋がっております。このようにトータルでみれば、大変意義深い商品であり、幅広くお客さまに支持されたものと理解しております。
 先行きについても、お客さまのニーズは非常に強いものと感じており、今後も安定的に、件数・金額は増加していくと思っています。この制度につきましては、現在3年間の時限措置ということで、来年12月末までとなっておりますが、今後につきましては、こういった足元の強いニーズがあるということを踏まえまして、制度の恒久化といったことを、要望していくかどうか、今後検討して参りたいと考えております。

信託の普及

問:
 信託については、なかなか親しみがないというか馴染みがないと思いますが、認知度を高めていくために、信託協会としてどういったことを具体的に考えておられるのか。
答:
 今申し上げました教育資金贈与信託というのは、信託銀行との取引の間口を広げていくという意味においても大変有意義な商品であると考えています。ニーズのあるお客さまに幅広くご紹介することによって、相当程度、信託に対する認知度は高まってくるのではないかと思います。
 また、規制緩和の一つとして、この4月から、信託契約代理店において元本保証付の合同運用指定金銭信託等を取り扱う場合の金融商品取引法の規制が見直されました。この規制緩和によりまして、例えば、後見制度支援信託といったものが、より多くの信託契約代理店で幅広く取扱うことが可能になったということです。
 個別行の話になりますが、みずほグループにおきましては、みずほ銀行が、この4月1日から、みずほ信託銀行の信託契約代理店として、後見制度支援信託を全店で取り扱える体制といたしました。
 このような取り組みを通じまして、より多くの方々に、信託のサービス・商品を幅広く提供することによって、認知度を高めていけるよう進めて参りたいと思います。
 また、信託協会といたしましても、一般の方々を対象としたオープンセミナー等も開催しておりますが、こういった活動もさらに充実させ、広く信託を認知していただけるよう取り組んで参りたいと考えています。

教育資金贈与信託

問:
 教育資金贈与信託のように、間口を広げていく商品は、今後出てくるのか。
答:
 いくつかあると思うのですが、教育資金贈与信託は、資産の世代間移転を促進するという意味合いを持つ商品でございますが、同じような意味合いで、少子高齢化対策に資するという関連から申し上げると、アンケート調査等から、結婚、出産、子育て等々について、相当強いニーズがあると考えています。こういった分野で、いろいろな形で、新たな商品・サービスを提供していきたいと考えています。また、インフラ整備といった面におきましても、個人の金融資産が、インフラ整備あるいは再生可能エネルギー等の分野に流れていく、そういった仕組みを、知恵を絞って考えていきたい。必要に応じて、これから業界の意見を取りまとめ、税制改正要望を検討していきたいと考えています。

信託の活用

問:
 冒頭の抱負、今のお答えでも、信託の活用で、国内のインフラ整備ということをおっしゃっているが、実際、日本では、社会インフラへの信託を活用したスキームというのが、あまりないような気がするが、普及に向けて何が課題なのでしょうか。
答:
 ご指摘がありましたように、欧米では、インフラファンドというものが現にございまして、日本の機関投資家においても、そういったものへの投資を検討しておられる。我々もニーズのある機関投資家に対して、海外の運用機関と提携して、商品をご紹介していることもございます。日本におきましては、インフラ整備に民間の活力を有効に活用していくということは、まだまだこれからの領域だと思います。従来から、PFI、PPP等の資金調達の部分においても検討されていますが、徐々に動き出しているという段階かと思います。
 この3月に、金融庁の官民ラウンドテーブルがございまして、その中で、インフラ整備の分野において、今後、民間の活用方法を検討していくことが示されており、信託協会も参加して意見を述べさせていただいているところでございます。まだまだ、これからの領域ということではございますが、例えば、インフラファンド等について言えば、トラックレコードを整備していくことも必要だと思います。貯蓄から投資へという大きな流れの中で、個人の金融資産がそういう分野に流れていく、そういった枠組みを、これから信託協会としても知恵を絞って検討していきたいと思います。

景況感

問:
 抱負のところで、震災復興にも信託機能を活用できたらというお話でしたが、具体的にはどんな形態が考えられるか。
答:
 まず、信託業界として、東日本大震災事業者再生支援機構に人材を派遣するなどのサポートを行っております。また、震災復興の一つの手段としては、土地信託という制度がございます。いろいろな資産をお預かりして、それを管理・運用していくといった信託機能を震災復興に活用できないか、これから一層知恵を絞っていきたいと思います。

景況感

問:
 増税の影響ですが、7月以降、持ち直すという話をいただいたが、どのように持ち直してゆくのか、そのあたりのお考えを伺いたい。
答:
 先々についてみれば、消費税引上げ後の影響、中国経済の減速リスク、シャドーバンキングの問題等、懸念材料は多くあり、そのようなところをよくよく注視していかないといけないと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、足元の景気は回復基調にあり、アベノミクスの効果、すなわち金融政策、財政政策、成長戦略というものが相まって、企業、個人のマインドは大きく変わってきていると思います。そうした中で、設備投資が従来に比べますと活発化しておりますし、企業部門の収益の改善が、賃上げを通じて家計にも波及しつつあるという局面かと思います。また、5.5兆円の補正予算前倒し等政府の経済対策、米国経済の先行きの底堅さ等々を総合的に勘案すると、緩やかな回復基調に向かっていくのではないかとみており、是非、そうなってほしいと期待しています。そのためには、6月に成長戦略を新たに取りまとめ、その成果をしっかり出していただくことが重要だと考えています。

東京電力の財務状況

問:
 電力会社に関してであるが、東京電力の財務状況について、担保をどのように考えているのか。また、東京電力以外の電力会社の財務状況についても報道されており、資本に踏み込んで手当てするといった話もあるが、その点についてどのように考えているか。個別行の観点からでもいいので伺いたい。
答:
 東京電力及びそれ以外の会社の資本状況についてのご質問であるが、基本的には、個別取引に関わる話なので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。その中で、一般論として基本的な考え方を申し上げれば、電力はまさに社会公共インフラであり、重要な役割を果たしていると認識しており、我々金融機関としては、そのような重要性を踏まえてしっかり対応していくことが基本だと考えています。
問:
 個社の話で控えたいということであるが、東京電力は税金も投入されており、単純な私企業の話ではないと思うので、今、言われたように公共性が高いということで、ある程度の方向性というか考え方を伺いたい。
答:
 信託協会の所信を表明する場であり、個別取引に関する話は馴染まないと思うので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

日本版スチュワードシップコード

問:
 日本版スチュワードシップコードが信託銀行に影響を及ぼすのは具体的にどのようなことか。
答:
 スチュワードシップコードは、今年2月に金融庁より公表されており、これを受けて5月までに各機関投資家が採用について表明し、8月までに各機関投資家ごとに基本的考え方・方針を公表するスケジュールになっております。信託銀行も機関投資家という側面があるので、そのような立場でこれにしっかりと対応していくことが重要だと思います。機関投資家として、各企業としっかりと対話をする、その結果として企業の持続的成長、発展に繋げていく、それがひいては日本経済の成長・発展に繋がっていくので、しっかりと我々も対応していきたいと考えています。これは、個社別に機関投資家としてどう考えていくのかということであり、業界として統一的に対応する性格のものではないので、個別行の判断としてしっかり対応していくということだと思います。

教育資金贈与信託

問:
 教育資金贈与信託について、先程、恒久化を要望するか検討すると言われていたと思うが、検討の結果、恒久化を要望しないことも有り得るということか。それとも基本的には恒久化を要望していくということか。
答:
 本年度の税制改正要望は、まさにこれから関係各方面の意見を聞いて取りまとめていくスケジュールとなっております。この恒久化については、ニーズが非常に強いという現状認識を持っているので、要望していく方向感の中で検討していきたいと考えております。

以上

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