常陰会長定例記者会見

平成27年10月15日

冒頭 振角専務理事より、教育資金贈与信託の本年9月末の受託状況、結婚・子育て支援信託の本年9月末の受託状況、信託財産総額が本年8月末現在で962.3兆円と史上最高額額を更新していること、本日の理事会において「規制改革に関する提案」を取りまとめ、内閣府の規制改革推進室宛てに提出したこと、信託統計のポケット版を作成したこと等の報告および説明を行った。

半年間の振返り

信託協会会長の常陰でございます。それでは、この半年間を振返りまして、これまでの活動状況と今後の取組みについてご報告したいと思います。
  会長就任時に所信として「信託機能の一層の活用により、経済や社会への貢献を図っていくこと」および「信託の担い手として、受託者精神の重みを強く意識しなければいけないこと」の2点を掲げまして、商品の開発・普及、コーポレートガバナンス改革への貢献などに、注力、活動して参りました。

商品の開発・普及につきましては、従来からの教育資金贈与信託に加えて、4月から各社が取扱いを開始致しました結婚・子育て支援信託についても、9月末で受託件数が2,000件を大きく超えて、相応の実績が積み上がりつつあります。また、各社共同での新聞広告等で周知活動を行っており、今後ともアピールに努めたいと思っております。

次に、今年度の税制改正要望ですが、地方創生が政府の重要な政策課題になっていることを踏まえ、「地方創生に資する信託の活用」という観点から「特定寄附信託の制度拡充」と「事業承継税制への信託の適用」を要望しております。
  「特定寄附信託の制度拡充」については、今年度は、地方での中核的役割が期待されている地方国立大学等への支援を念頭に、寄附可能先の追加を要望しており、文部科学省の要望として、取り上げられているところです。併せて、株式配当の寄附への活用を検討しているところです。
  「事業承継税制への信託の適用」については、円滑な事業承継の支援などの観点から、信託された株式について事業承継税制の適用を要望しており、中小企業庁にも要望趣旨を理解いただいているところです。
  また、日本再興戦略において、経営者に対するインセンティブ付与に向けた仕組みの整備が掲げられていることを踏まえ、「信託を利用した業績連動型株式報酬制度」に関して要望しております。具体的には、在職時に役員給与として株式を交付する場合の損金算入を要望しており、経済産業省の要望として取り上げられているところです。
  税制改正要望については、ただいま、ご説明した要望を中心とし、実現に向けて引き続き活動し、経済や社会に貢献できる新たな信託商品、あるいはスキームを生み出して参りたいと存じます。

他方、「コーポレートガバナンス改革への貢献」については、機関投資家としてスチュワードシップ・コードに基づき、投資先企業との建設的な対話に努めるとともに、代行機関として、各発行会社様の株主総会サポートなどを行い、協会としても上場会社のご担当者様向けに、「コーポレートガバナンス・コードへの対応」と題したセミナーをこの7月に開催するなど、積極的な情報提供に努めて参りました。引き続き、コーポレートガバナンス改革への貢献に資する活動を進めて参る所存です。

以上、この半年の活動状況について、報告申し上げました。残る半年につきましても、所信の2点を中心に活動し、信託のプレゼンスをますます高めていきたいと存じますので、引き続き、ご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以下、質疑応答

結婚・子育て支援信託

問:
 結婚・子育て支援信託の現状の数字の受け止めと、今後の期待についてお伺いしたい。
答:
 この2,700件弱、63億円という数字については、教育資金贈与信託等に比べると少しスロースタートに見えますが、我々としては、実績は徐々に積み上がりつつあり、これからさらに多くの皆様にご活用いただくことを期待しているところです。
 若年層の方が、将来における経済的な不安を大きな要因として、結婚や出産をためらっている一面があると認識しておりますが、この商品は、親の世代からこういった明確な目的のために一括非課税贈与ができ、世代間で費用を分担することで、将来の不安の解消に資するものと認識しております。昨今、国民的課題になっている少子化対策にも資する社会的意義のある商品だと思っておりますので、ぜひともこの商品の活用を進めていきたいと思っているところです。
 我々としては、一つは、教育資金贈与信託との組み合わせにより、結婚・出産・子育て・教育という一連のライフイベントを一貫してサポートできるサービスとしてサポートし、各社も活動に注力して参りたいと思います。加えて、協会としても商品性や利便性のアピールや、さらなる改善に向けた活動を行うことで、さらなる積み上げを支援していく所存です。

景況感

問:
 政府の月例経済報告で景気判断が1年ぶりに下方修正され、若干先行きを不安視するような声がある中での足元の景況感と先行きの認識についてお伺いしたい。
答:
 国内景気については、昨今言われている通り、回復の動きが一服している状態で、踊り場的局面にあるという認識です。
 この背景としては、食料品価格の上昇等に伴う家計の負担増による消費の抑制、あるいは海外経済の不安定感、あるいは減速感からの輸出および生産の停滞、加えて中国経済を中心としたそれらに対する不安感の高まり、こういったものが考えられると見ております。
 本来であれば、雇用や所得、企業収益等の改善によって、いわゆる景気の好循環に入るというシナリオがあった訳ですが、これらが順調に景気の好循環の波及効果に及んでいるかについては、少し手間取っているという認識です。
 この先は、やはりいわゆる景気の「気」と称しているところの改善が必要であると思っております。この景況感や、投資あるいは消費に対するマインドの改善が必要ですが、具体的に「気」が改善するためには、一つは、客観的なものとして海外の経済の不安定感が一定程度払拭される状態になるということ、もう一つは、国内においてインフレ期待を上回る所得環境の持続的な改善についての確信をもう少し持てる状況が来る必要があると考えております。

信託財産総額

問:
 信託財産総額が過去最高を更新していることの背景と今後の見通しについてお伺いしたい。
答:
 信託財産総額の増加の要因を構成している商品としては、公募投信や私募投信等の投資信託、加えてオフバランスが進められていることによる流動化商品があります。株価等の影響により9月末時点の数値については、多少影響は受けていると思いますが、各商品に対する利用者のニーズの高さや増加のペースは衰えておらず、早期の1,000兆円超えを期待しているところであります。

軽減税率

問:
 現在議論されている軽減税率への見解および導入の是非についての考えをお伺いしたい。
答:
 現在、色々議論がされているところですが、消費税には逆進性がありますので家計の負担増による消費の抑制による景気の悪化を回避するために何らかの負担の軽減が必要なのではないかと思っております。
 いずれにしても、公平性と効率性の二つを両立させていく必要があると思っており、その両立が出来るような仕組みが議論されて導入されていくことを期待しております。

政治献金

問:
 経団連による企業献金の呼びかけに対する受け止めと対応について考えをお伺いしたい。
答:
 本件は各社が判断する問題と考えているので、個社としてお答え申し上げます。
 本件については、経済環境や社会的環境に加え、ステークホルダーの皆さまとの関係等を踏まえて、慎重かつ総合的に考える必要があると考えており、現在のところ、明確に判断しているものではありません。

金融行政方針

問:
 金融行政方針に運用の高度化が入っているが、今後の運用の高度化についての取組みについてお伺いしたい。
答:
 信託銀行は従来より有力な機関投資家として、年金の運用等を本業として担っておりますが、運用手法や運用対象の多様化が求められているため、より高度化させていく必要があると考えております。
 一方で、今回の金融行政方針に出されているフィデューシャリー・デューティの徹底が求められている中、利益相反管理を含むリスク管理やお客さまへの開示等をさらに徹底していく必要があると再認識しております。

投資運用会社と系列販売会社の独立性

問:
 フィデューシャリー・デューティの中で求められている、投資運用業者と系列販売会社との間の適切な経営の独立性確保についての、今後の体制や取組みについてお伺いしたい。
答:
 今回の趣旨として、すなわち商品の設計や企画から開発、販売、資産管理に至るまで、真にお客さまのニーズに応えているかどうかという点が非常に重要であると認識しております。販売会社としては、お客さまのニーズを確りと伝えて、投資運用会社がそれを確りと受け止めて商品の開発や運用を行うことが重要であると考えております。
 専門性の高い人材の配置、客観的な意見を反映した商品開発や、それを担保する運営ルール等を整備していく必要があると考えております。
 それらの点につきましては、現在も取組めているという認識でありますが、今般、改めてそこを点検し、不足等があれば確り運営の明確性や透明性を確保していくことが必要であると考えております。

国内の設備投資

問:
 現状の国内の設備投資の状況についてお伺いしたい。
答:
 企業の設備投資については、以前に比べると増加傾向にあり基調は確りしてきていると思いますが、大企業を中心に手元資金が厚いこともあり、資金需要ニーズが大きく顕在化している訳ではありません。また、大企業中心に、国内への投資と海外への投資を比較する中で、国内への投資が大きなうねりのようにはなっていないと感じております。ただ、全般的にいえば設備投資への裾野の広がりのような動きは出てきつつあると感じております。

日本郵政グループ上場

問:
 間近に迫った郵政上場に対する見解をお伺いしたい。
答:
 日本郵政グループの上場については、その上場益が東日本大震災の復興財源に活用され、国民の利益につながることと認識しております。
 また、独自に企業価値の向上に努め、そのために様々な手を打ってきておられるので、我々としても、支援やサポート、協力を行っていきたいと思っております。
問:
 民業圧迫という声に対するお考えについてお伺いしたい。
答:
 民業圧迫の議論については、協会としてのスタンスは全銀協や地銀協と基本的に同じであり、協会としてもコメントを出しているところです。

中国経済

問:
 現在の中国の経済状況についてどのように見ているかお伺いしたい。
答:
 中国の経済状況については、見方が分かれているが、現在、取組んでいる産業構造の転換については、どの程度のスパンで実現するかという問題はあるかと思いますが、その一方で、足下について申し上げると、公共事業拡大や内需拡大策、金融緩和政策等の景気刺激策を着実に講じていることもあり、その各種政策の効果が一定程度功を奏し、景気が持ち直すとともに市場も安定するということを期待したいと感じております。

以上

ページのトップへ戻る