令和4年 信託協会長年頭ご挨拶

2022年01月04日

 昨年の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による自粛ムードの広がりによるサービス消費の停滞、半導体不足などの供給制約を背景とした生産の不振、生産が弱まる中での設備投資の減少等から厳しい状況が続きました。

 本年については、新たな変異株の出現など依然として感染症拡大は予断を許さず、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスク、金融資本市場の変動等に留意が必要な状況ですが、新しい資本主義実現を標榜する政府の経済対策が効果を発揮し、景気が持ち直していくことを期待しています。

 信託業界に目を向けますと、そうした中におきましても信託財産残高は昨年9月末現在で約1434.5兆円と史上最高額となりました。これは、信託制度および信託機能がわが国の経済や国民生活における重要なインフラとして広く浸透し、その発展に寄与・貢献している証であると認識しています。

 さて、私は昨年4月の信託協会会長就任にあたり、所信として、「社会・経済の課題解決と持続可能な成長への貢献」および「受託者精神に立脚した『安心』の提供」を活動の柱として掲げました。

 「団塊の世代」が後期高齢者に差し掛かる時期を迎えますが、人生100年と言われる中で、信託は、長い期間に渡りお客様の悩みに応えていくところに、業務としての本質があると考えます。お客様が資産形成と財産管理に対して抱く悩みへの対処において、信託が持つ可能性は大きく、信託業界として「信託の力」を発揮した、商品・サービスを提供し、お客様の豊かな暮らしの実現を支えてまいります。

 また、世界経済が成長を続けてきた中で生まれた気候変動のような歪み、社会問題への対処も大きな課題です。昨年より当協会では企業のESGへの取組み促進をテーマとした研究会を立ち上げて議論を行っており、議論の成果も踏まえながら信託業界として課題の解決に貢献いたします。
 
 本年は信託法および信託業法が制定されて100年と節目の年を迎えます。「信じて託す」信託の原点である受託者精神を改めて確認し、永年に渡り積み上げてきた経験やノウハウの活用と今の時代を捉えた創造により、社会・経済の課題解決と持続的な成長への貢献、安心の提供を実現してまいりたいと考えています。

一般社団法人信託協会 会長 高倉 透