平成31年 信託協会長年頭ご挨拶

2019年01月04日

 昨年の日本経済を振り返りますと、海外景気の回復により企業の高い利益水準が維持されたことから、国内においても総じて緩やかな景気回復が続きました。その一方で、米国での複数回にわたる政策金利の引き上げ等による長期金利の上昇や株式市場の乱高下、新興国通貨の下落など、金融市場は不安定な状況が続きました。さらに保護主義の顕在化による貿易摩擦問題や地政学リスクの高まりなど、経済・金融環境の不透明感・不確実性が高まっています。

 信託業界に目を向けますと、そうした中におきましても信託財産残高は昨年9月末現在で約1,156兆円と史上最高額となりました。これは、信託制度および信託機能がわが国の経済や国民生活における重要なインフラとして広く浸透し、その発展に寄与・貢献している証であると認識しております。

 さて、私は、昨年4月に信託協会長に就任して以来、信託業界の使命として、信託制度の健全な発展によりお客様に安心して信託を利用して頂くことを基本に、法的安定性と柔軟性を有する信託の特性を存分に活かして社会・経済の発展に貢献すること、また変化の激しい時代において、将来を見据えた機敏な対応によりお客様のニーズや社会の要請に適時、的確に応えていくことを絶えず念頭に置いてまいりました。

 こうした思いを具体化する信託商品として、私どもは、少子高齢化が進展する中、円滑な資産承継や財産管理をバックアップする「遺言代用信託」や「後見制度支援信託」、教育機会の充実、人材育成に資するとともに世代間の資産移転を通じて経済活性化に資する「教育資金贈与信託」等をご提供しています。これらについては一層の普及に努め、お客様や社会のニーズに応えてまいります。

 なお、この中で、平成30年度末で措置期限を迎える教育資金贈与信託に関する贈与税非課税制度について、適用期限の延長が図られたことは、引き続き教育機会の充実に貢献でき、非常に意義深いと考えます。

 今年は平成から次の時代へと移り変わろうとする節目の時期にあたります。お客様本位の姿勢を貫く信託の事業精神を改めて確認し、信託を通じてこれまで積み上げてきたノウハウ、経験をフルに活用して、社会・経済の持続的な発展に貢献したいと考えています。

一般社団法人信託協会 会長 大久保 哲夫