第90回信託大会(三井住友信託銀行 常陰社長)

2015年04月15日

当協会は、平成27年4月15日(水)、経団連会館において第90回信託大会を開催いたしました。

はじめに常陰均信託協会会長(三井住友信託銀行社長)から、信託機能の一層の活用による経済や社会への貢献、「受託者精神の重み」を一層意識について所信を述べた後、麻生太郎金融担当大臣、黒田東彦日本銀行総裁からそれぞれご挨拶をいただきました。

また、神田秀樹東京大学大学院法学政治学研究科教授による「信託の将来と法の役割」と題するご講演を実施しました。

所信

一般社団法人信託協会は大正15年に設立され、来年1月に設立90周年を迎える。
資産の「使い方」に知恵を絞る信託の原点に立ち返り、信託の機能を最大限に活用して経済や社会へ貢献し、信託のプレゼンスをますます高めていく必要がある。

信託機能の一層の活用による経済や社会への貢献

(1)新しい信託商品の開発
「教育資金贈与信託」が、制度創設以来、10万件を超えるご契約を頂くなど、ご好評を頂いている。27年度税制改正においては、制度の延長が認められるとともに、利用者の利便性向上のための事務簡素化も実現した。
また、「結婚・子育て支援信託」についても、今般、制度が創設され、本年4月より取扱いを開始した。この商品は結婚や子育てへの支援を通じて、少子化対策に貢献するのみならず、人口減少という課題に直面する地域経済の活性化にも寄与するものであり、「教育資金贈与信託」同様、普及・促進に力を注いでいく。
今後とも、教育あるいは結婚や子育てへの支援に留まらず、例えば地方創生や社会貢献への取り組みをサポートするなど、時代の要請や社会のニーズに対応した新たなサービスや商品の開発、提供に向け、信託業界として知恵を振り絞って参りたい。

(2)コーポレートガバナンス改革への貢献
信託は機関投資家として、ガバナンス改革において「車の両輪」の一方であるスチュワードシップ活動の担い手でもある。この役割と使命を十分に認識し、企業との対話促進を通じて、ガバナンス改革、ひいては我が国の「稼ぐ力」の向上に貢献して参りたい。

(3)アジア諸国との連携強化
アジア諸国との信託に関する連携強化を進め、その成長の果実を享受することも念頭に、我が国の信託制度の普及・浸透を図るべく、相互理解に向けた交流や研究を推進して参りたい。

「受託者精神の重み」を一層意識

信託は、受託者に対する委託者や受益者からの高度かつ長期に亘る信頼を前提として成り立つ制度であり、高度な倫理観と専門性がその根本にある。
「最善至高の信義・誠実」というお客様本位の姿勢、「奉仕・開拓」の精神は、このような高度な倫理観と専門性に裏打ちされた受託者精神を具現化するものであり、今や信託のみならず金融業界全体に求められるものとなっているといっても過言ではない。
信託の担い手、受託者精神の「本家本元」として、今後も長期に亘るお客様の信頼にお応えするとともに、広く信託の理念を浸透させて参りたい。

ご講演

「信託の将来と法の役割」
東京大学大学院法学政治学研究科 神田秀樹教授

神田教授ご講演「信託の将来と法の役割」 [479 KB]

以上