Ⅲ. 平成(1989年-2019年)金融制度改革、信託2法の改正と信託機能の活用の広がり
信託2法改正への対応、信託会社の協会加盟
信託業法改正への対応、信託会社の協会加盟
信託法、信託業法は、大正11(1922)年の制定から、抜本的な改正は行われてきませんでした。
金融商品の多様化とともに、信託の仕組みを用いてさまざまな場面で重要な役割を果たすことへの期待や、信託業法の受託財産の制限の緩和や、一般の事業会社等の信託商品の提供を行うことへのニーズが高まってきました。
平成14(2002)年6月から金融審議会金融分科会第二部会において、信託業のあり方について検討が行われ、信託業界も委員として検討に参加しました。
その後の検討を経て、平成16(2004)年12月に「改正信託業法」が施行され、知的財産権等を含む財産権一般の受託が可能となるとともに、信託業の担い手が拡大され、金融機関以外の事業会社の参入等が可能になりました。また、信託サービスの利用者の窓口の拡大として、「信託契約代理店制度」と「信託受益権販売業者制度」も新たに作られました。
信託協会では、改正法案が国会に提出された平成16(2004)年3月、継続審議になった同年6月、法案が成立した同年11月に、それぞれ協会長コメントをニュースリリースで公表しました。また、パンフレット「信託の新たな発展に向けて」を発行しました。
平成16年の信託業法改正後、管理型および運用型の信託会社が漸次設立され、信託協会に準社員会社として加盟しました。
信託法改正への対応
信託法は、大正11(1922)年の制定から、抜本的な改正は行われてきませんでした。同法は、取締法的な性格を持ち、もともと個人間の財産管理を念頭に制定されたものでした。
しかし、わが国では、商事信託を中心として信託が発展してきたことや、信託法制定時の想定しなかった形での信託の活用が図られるようになったことから、信託法の抜本的な見直しが望まれるようになりました。
信託協会では、昭和61(1986)年から平成17(2005)年まで、信託協会に設置した商事信託研究会において、商事信託に関する理論や実務についての研究を進め、その成果を平成12(2000)年には「商事信託法要綱」として公表、平成13(2001)年には『商事信託法の研究—商事信託要綱およびその説明』を刊行し、平成17(2005)年には「商事信託法コンメンタール―商事信託研究会報告―」を取りまとめました。
「商事信託法要綱」は、信託協会の信託法改正のための活動の資料として幅広く活用されました。
平成16(2004)年10月から法制審議会信託法部会において、信託法改正についての審議が開始され、信託業界も委員として審議に参加しました。平成17(2005)年7月に「信託法改正要綱試案」が公表・パブリック・コメントに付され、信託協会は意見を提出しました。
その後審議が続けられ、平成18(2006)年2月の法制審議会総会で「信託法改正要綱」が取りまとめられ、法務大臣に答申されました。同年の通常国会に、信託法改正関係法案が提出され、同年12月に成立し、平成19(2007)年9月に施行されました。これと同時に、信託業法、兼営法等も同改正に伴う改正が行われました。平成19(2007)年9月には、証券取引法を改正した金融商品取引法も施行されました。
信託協会では、改正法案が国会に提出された平成18(2006)年3月、継続審議になった同年6月、法案が成立した同年12月に、それぞれ協会長コメントをニュースリリースで公表しました。また、平成19(2007)年3月にパンフレット「新しい信託法の概要」を発行、信託法・信託業法改正シンポジウムを経団連会館で開催しました。
信託制度に関する調査・研究を行う会議体
現在、当協会では、法律、税制、経済の各分野における信託制度に関する調査・研究を行う研究会として「信託法務研究会」、「信託税制研究会」、「信託経済研究会」の3つを設置しています。各会議体は、研究者と実務家がメンバーとなっています。
法律に関する研究会は、研究テーマに応じて、次の研究会が設置され、最終報告を取りまとめて解散しました。
- 昭和52(1977)年:「信託法研究会」(昭和61(1986)年に解散)
- 昭和61(1986)年:「商事信託研究会」(平成17(2005)年に解散)
- 平成17(2005)年:「信託法務研究会」(平成24(2012)年に解散)
- 平成24(2012)年:「商事信託研究会」(令和4(2022)年に解散)
そして、令和4(2022)年に「信託法務研究会」が設置され現在にいたります。
税制に関する研究会の「信託税制研究会」は、平成17(2005)年に設置されました。
経済に関する研究会の「信託経済研究会」は、昭和62(1987)年に設置されました。同研究会は、会議形式による運営およびコンファレンスを開催しています。
これらの研究会の成果は、協会および業界活動の多くの場面で活用されてきました。

