Ⅱ. 昭和(1926年-1989年)戦前・戦時体制、戦後の復興から高度経済成長、その後の経済の成熟
高度経済成長の終了からその後の経済の成熟(昭和48(1973)年~昭和63(1989)年)
信託2法施行50周年、信託協会創立50周年記念事業
昭和48(1973)年以降、高度経済成長の終了により、日本経済は安定成長期に入ることになりました。
同年は、信託2法が大正12(1923)年1月に施行されてから50周年を迎えたことから、記念事業として、4月に信託文献センターを設置し、広報冊子「日本の信託」を発行しました。
昭和51(1976)年1月に創立50周年を迎えることを受けて、記念事業として、①信託相談所の設置(昭和50(1975)年4月(※1))、②信託実務用語辞典の発刊(昭和51(1976)年4月(※2))、③会報『信託』創立50周年記念号の発行等を行いました。
- 協会初のニュースリリースを実施して設置を公表しました。
- 平成4(1992)年11月に改訂版の『信託実務用語辞典』を発刊しました。
「信託相談所の開設について」
特定贈与信託の創設
昭和45(1970)年に心身障害者対策基本法(平成5年に「障害者基本法」と改称)が制定されましたが、心身障害者の一層の社会的保護については課題とされていました。このような状況を踏まえ、信託協会は、心身障害者を受益者として、その生活の安定を図ることを目的とした一定の要件に適合する信託を設定した場合に、相続税、贈与税等の優遇措置を講じることを要望しました。その結果、昭和50(1975)年度税制改正によって、「特別障害者に対する贈与税の非課税制度」が創設され、同年6月から特定贈与信託という商品名で、信託銀行が取扱を開始しました。
公益信託制度の実用化
公益信託制度は、大正11(1922)年制定の信託法で規定されたものの、その後長い間実用化に至りませんでしたが、わが国の経済の拡大に伴い、社会一般のために資産を役立てたいという意識が高まり、その活用方法として公益信託制度について着目され、公益法人協会に協力し、実用化のための調査研究を信託協会においても実施し、関係省庁への働きかけを行った結果、昭和52(1977)年5月に第1号の公益信託が発足しました。
信託協会では、同年10月に広報冊子「公益信託-その制度のあらまし-」を発行し、その後昭和62(1987)年に10周年記念事業(※1)、平成9(1997)年に20周年記念事業(※2)をそれぞれ実施しました。
また、平成15(2003)年11月14日、公益法人協会からの依頼により、同協会と共催で公益信託制度研究30周年記念シンポジウムを、司法書士会館にて開催しました。
- 記念講演・シンポジウム、広報冊子、ポスター、公益信託事例集の作成等を実施しました。
- 平成2(1990)年に発刊し、その後数次にわたり改訂を行った『公益信託要覧』の改訂、公益信託の制度、事例について紹介する公益信託ホームページの開設、会報『信託』特集号の発行等を実施しました。
信託制度の普及・発展への対応
「主要信託受託概況」(現「信託の受託概況」)のマスメディアへの公表
信託業界の事情を積極的にPRすることを目的として、昭和52(1977)年6月末分から、3、6、9、12月末分の計数を四半期毎に公表することとしました。
広報冊子「やさしい信託シリーズ」の発行
昭和56(1981)年に、信託銀行および信託商品・業務を紹介する学校教育における副教材として、やさしい信託シリーズのパンフレット「暮らしと信託」(※)、また、遺言と遺言信託の理解を目的として、同シリーズのパンフレット「遺言と信託」を発行しました。
- 当初は信託と社会との関わりを平易に解説したパンフレット「信頼のきずな」とセットで配布していましたが、平成7(1995)年に「暮らしと信託」に統合し、高等学校等へ配布しました。
信託奨励金論集の発行
これまで、信託研究奨励金の研究成果論文の一部を会報『信託』に掲載しておりましたが、昭和62(1987)年から、奨励金受贈者の研究発表の場の提供と奨励金受贈者に対する信託研究に関する情報提供を目的に、『信託研究奨励金論集』を発行することとなりました。
標語・シンボルマーク(ロゴ)の制定
昭和61(1986)年に、創立60周年を迎えるとともに、後述する外資系信託銀行9社が準社員として加盟したことを機会に、信託業界のPRを目的に「明日を拓く、いま信託の時代」を標語として掲げました。
昭和62(1987)年4月には、金融団体で初の試みとしてシンボルマーク(ロゴ)を制定しました(※)。
- 詳しくは、コラム「信託協会シンボルマークの制定」をご覧ください。
慶應義塾大学信託法寄付講座の開設
昭和62(1987)年4月に、信託協会創立60周年記念事業の一環として、慶應義塾大学法学部に信託法寄付講座を設置しました。当初の設置期間は同年から5年間(平成4(1992)年3月まで)で、平成4(1992)年4月から、法学部の講座に加えて大学院においても設置期間を平成9(1997)年3月までの5年間とする講座を設置し、同月に大学のカリキュラム見直しが行われ終了しました。なお、同大学には、平成25(2013)年度から寄付講座の設置を再開し、現在にいたります。
外資系信託銀行の協会加盟
昭和50年代後半のわが国経済のストック化を背景に、信託の優れた特性が評価され、信託サービスに対する国民の期待が著しく高まりました。これとほぼ期を同じくして、海外からの金融資本市場開放の期待も高まりました。そして、昭和60(1985)年に外国銀行の信託業務への参入が認められ、同年から翌61(1986)年にかけて、9社の外資系信託銀行が設立されました。
信託協会では、この新たな担い手を受け入れるために、従来の社員制度に加えて準社員制度を設けました。外資系信託銀行9社はすべて準社員として信託協会に加盟しました。

