第91回信託大会(三菱UFJ信託銀行 池谷社長)

2016年04月11日

当協会は、平成28年4月11日(月)、経団連会館において第91回信託大会を開催いたしました。

はじめに池谷幹男信託協会会長(三菱UFJ信託銀行社長)から、信託機能の一層の活用による社会・経済への貢献、信託に対する信頼の確保について所信を述べた後、麻生太郎金融担当大臣、黒田東彦日本銀行総裁からそれぞれご挨拶をいただきました。

また、能見善久学習院大学法科大学院教授による「信託のフロンティア」と題するご講演を実施しました。

所信

一般社団法人信託協会は、「信託制度の発達を図り公共の利益を増進すること」を目的として大正15年に創立され、今年の1月に90周年を迎えた。
協会では一貫して信託制度の普及・健全な発展のための活動に取り組んできたが、この間、信託制度は、社会からの期待、ニーズに応じた様々な機能を発揮することにより、社会・経済の重要なインフラとして発展を続けており、信託財産総額は1,000 兆円に迫る規模にまで拡大している。

信託機能の一層の活用による社会・経済への貢献

このように、信託の活用が進むなか、信託制度の更なる普及・健全な発展に努め、社会・経済に一層貢献して参りたい。
大正11年に制定された信託法が、社会・経済の発展に的確に対応すべく平成18年に全面的に見直され、今年の12月で10年が経過する。
この間、遺言代用信託、後見制度支援信託、教育資金贈与信託、結婚・子育て支援信託等、少子高齢化による人口減少社会の到来に対応した、財産の保全・世代間移転に資する信託商品や、受益証券発行信託、信託社債等、信託機能を活用した金融商品を開発し、ご提供してきた。
信託法の大家、故四宮和夫先生は、「信託は、その目的が不法や不能でないかぎり、どのような目的のためにも設定されることが可能である。したがって、信託の事例は無数にありうるわけで、それを制限するものがあるとすれば、 それは、法律家や実務家の想像力の欠如にほかならない」と、その著書で述べておられる。
私どもは歴史ある信託の担い手として、引き続き、信託制度の持つ多様な機能・柔軟性を活用し、社会・経済の諸課題・ニーズに対応した商品・サービスを開発し、ご提供すべく、創意工夫に努めて参りたい。

信託に対する信頼の確保

信託は、委託者および受益者からの信頼に、受託者が誠実に応えることによって成り立つ、「信頼」と「誠実」を基礎においた制度である。
私ども信託の担い手は、お客様の信頼に応えるフィデューシャリーとして、忠実義務、善管注意義務をはじめとした様々な法的義務を果たすことはもとより、高い倫理意識と専門性に基づいて、常にお客様のために誠実に行動しなければならない。
今後も、お客様に安心して信託をご利用いただくことができるよう、私どもは能力・資質の向上に不断の努力を重ね、全力でお客様に尽くし、フィデューシャリー・デューティーを果たしていくことで、90年にわたる長い歴史のなかで培われてきた信託に対する「信頼」の更なる向上に尽力して参りたい。

ご講演

「信託のフロンティア」
学習院大学法科大学院 能見善久教授

能見教授ご講演「信託のフロンティア」 [2 MB]

以上