後見制度支援信託

後見制度支援信託とは、後見制度を、後見制度による支援を受けている方(ご本人)の財産管理面でバックアップするための信託です。
信託契約の締結、一時金の交付等の手続きが家庭裁判所の指示書にもとづいて行われるため、安全にご本人の預貯金などを保全することができます。

こんな方がご利用されています

  • 法定成年後見制度あるいは未成年後見制度による支援を受けている方(ご本人)

概要

主な関係者

  • 委託者兼受益者
    被後見人(ご本人)
  • 親族後見人
    ご本人の法定代理人
  • 専門職後見人
    ご本人の法定代理人
  • 受託者
    信託銀行等
  • 家庭裁判所

委託者・受益者は法定成年後見制度および未成年後見制度の被後見人の方を対象としています。

後見制度を財産管理の面でバックアップする信託

信託銀行等が被後見人の財産を安全・確実に保護

後見制度支援信託とは、後見制度を、後見制度による支援を受けている方(ご本人)の財産管理面でバックアップするための信託です。具体的には、ご本人の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する(つまり、信託銀行等に預ける)仕組みとなっています。

家庭裁判所が関与するので安心して利用できます

信託契約の締結、一時金の交付等の手続きが家庭裁判所の指示書にもとづいて行われるため、安全にご本人の預貯金などを保全することができます。
なお、信託契約の締結などの法律行為は、ご本人に代わって、法定代理人である後見人が行います。
(詳細については、下記のお手続きの流れをご覧ください。)

メリット

  • 後見人が管理する預貯金口座を除き、金銭は家庭裁判所の指示書にもとづいて信託銀行等が管理するので、ご本人の財産を安全・確実に保護することができます
  • ご本人の財産管理についての後見人の負担を軽減することができ、金銭管理の方法などをめぐる親族間のトラブルを未然に防ぐことができます
  • 信託銀行等が管理する信託財産の残高等については、報告書や通帳等で確認することができ、これらの報告書や通帳等は、後見人が後見事務の状況を家庭裁判所に報告する際にも利用できます

ご注意いただきたいこと

  • 信託できる財産は、金銭に限られること
  • 法定成年後見制度の被保佐人・被補助人の方や、任意後見制度の被後見人の方はご利用いただけないこと

お手続きの流れ

*以下では、弁護士、司法書士等の専門職が後見人に選任され、その後、親族等に引き継ぐケースについて説明します。

1後見制度支援信託の利用について検討します

家庭裁判所は、新たな後見開始(または未成年後見人選任)の申立てがあった場合、または、既に後見人が選任されている場合で、後見制度支援信託の利用を検討すべきであると判断したときには、弁護士、司法書士等の専門職を後見人に選任します。
専門職後見人は、ご本人の生活状況や財産状況を踏まえて検討し、後見制度支援信託の利用に適していると判断した場合には、信託する財産の額などを設定し、家庭裁判所に報告書を提出します。

2家庭裁判所から発行される指示書にもとづいて信託銀行等と契約を締結します

家庭裁判所が報告書の内容を確認し、後見制度支援信託の利用に適していると判断した場合、専門職後見人に対して信託契約の締結を指示する指示書を発行します。
専門職後見人は、この指示書を信託銀行等[受託者]に提出し、ご本人を委託者兼受益者とする信託契約を締結し、金銭を信託します。
※専門職後見人は、関与の必要がなくなった段階で辞任します。専門職後見人が管理していた財産は、後見人となる親族等が管理を引き継ぎます。

3信託銀行等は、契約で定められた金額を定期的に後見人が管理する預貯金口座に振り込みます

契約締結後、信託銀行等は、管理する金銭の中から、契約で定められた金額を、定期的に後見人が管理する預貯金口座に振り込みます。
後見人は、この口座から、ご本人の生活費用などの日常的な支出を行います。

4ご本人に多額の支出が必要になったときには、一時金の交付を受けることができます。

ご本人の急な医療費の支払いなど、後見人が管理する預貯金口座からの支出だけでは足りない場合、後見人は家庭裁判所から指示書を得て、信託銀行等に支払いを請求することにより、一時金の交付を受けることができます。
逆に、ご本人に予定外の収入があった場合などには、後見人は、家庭裁判所から指示書を得て、信託財産に金銭を追加すること(追加信託)ができます。

よくあるご質問

誰でも利用できますか?

後見制度支援信託のご利用は、法定成年後見制度および未成年後見制度の被後見人の方を対象としています。法定成年後見制度の被保佐人・被補助人の方や、任意後見制度の被後見人の方はご利用いただけません。
なお、後見制度支援信託の利用に当たっては、家庭裁判所が後見制度支援信託の利用に適していると判断したときに、後見制度支援信託を紹介することになります。

預金保険制度の対象になりますか?

後見制度支援信託では、ご本人の財産を安定的に運用するために、元本補てん契約の付された指定金銭信託を利用することとなっています。元本補てん契約の付された指定金銭信託は、預金保険制度の対象となります。

元本保証や預金保険の詳細については、「信託利用時の注意点」のページをご覧ください。

信託利用時の注意点

契約の変更や解約をすることはできますか?

信託契約後の状況の変化により当初定められた定期交付の金額などに変更が必要になった場合や信託契約を解約せざるを得ないような場合には、後見人は、家庭裁判所の指示書を得て、信託銀行等との間で信託の変更や解約をすることができます。

契約した後、信託銀行等に預けた財産の状況はどのように確認できますか?

信託銀行等が管理する信託財産の残高等については、報告書や通帳等で確認することができます。これらの報告書や通帳等は、後見人が後見事務の状況を家庭裁判所に報告する際にもご利用いただけます。

金銭以外の財産についても管理してもらえますか?

後見制度支援信託では、ご本人の財産を安定的に運用するために、元本補てん契約の付された指定金銭信託を利用します。この元本補てん契約の付された指定金銭信託は、金銭のみを信託することができるものであるため、後見制度支援信託で管理できる財産は金銭に限定されています。

後見制度支援信託はいつまで利用できるのですか?

成年後見の場合の信託期間は、原則的に、ご本人が亡くなるまでとなります。ご本人が亡くなった場合には、信託は終了し、信託銀行等に預けた財産は、ご本人の相続財産として相続人に相続されます。
未成年後見の場合の信託期間は、原則的に、被後見人ご本人が成年に達するまでとなります。ご本人が成年に達した場合には信託は終了し、信託財産はご本人に引き渡されます。
また、信託銀行等に預けた財産がなくなった場合にも、信託は終了します。

どのような費用がかかりますか?

費用については、個々の信託契約によって定められ、各信託銀行等によってその定め方が異なりますので、各信託銀行等にお問い合わせください。

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関連情報

動画で学ぶ信託「後見制度支援信託」

リーフレット「後見制度支援信託」

後見制度支援信託の受託状況

 ※後見制度支援信託の利用状況がご覧いただけます。

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