顧客分別金信託

投資家が証券会社等の金融商品取引業者等を通じて有価証券を購入する際には、証券会社等に金銭を預けますが、証券会社が倒産した場合には、その金銭は投資家に返還されるのでしょうか?
実は、信託銀行等には、証券会社が倒産などした場合に備えて、投資家のお金が預けられ、安全に管理されています。

概要

投資家の大切な資産を信託銀行等が安全に管理します

投資家の大事なお金を守る顧客分別金信託

投資家が証券会社等の金融商品取引業者を通じて有価証券等を購入する際、証券会社等に金銭を預けますが、証券会社等の金融商品取引業者は、法律(金融商品取引法)により、投資家から預かったお金のうち、投資家に返却すべき額に相当する金銭については、
1. 自社が保有する資産とは明確に分けて管理すること
2. その管理については、信託銀行等に信託することが求められています。(金銭の代わりに国債等の安全資産を信託することも認められています。)
これにより、証券会社が倒産や廃業しても、投資家が預けたお金のうち、投資家に返却すべき額に相当する金銭は信託銀行等に管理されていて、投資家に返却されます。これが顧客分別金信託です。

信託の倒産隔離機能

信託銀行等に財産を預けると、その財産の名義人は受託者である信託銀行等になるため、万が一、委託者が倒産しても、委託者の債権者が信託した財産を差し押さえることはできないと法律(信託法)で定められています。
これは、信託の「倒産隔離機能」と呼ばれ、顧客分別金信託は、この「倒産隔離機能」を活用した商品と言えるでしょう。
なお、信託した財産は受託者である信託銀行等自身が持っている財産とは分けて管理されていて、もし信託銀行等が倒産しても、倒産した信託銀行等の債権者が信託した財産を差し押えることはできないと法律(信託法)で定められており、これも「倒産隔離機能」の1つです。

受益者代理人が受益者のために対応します

万が一、証券会社等が倒産した場合に、信託銀行等に預けられたお金を投資家に返すために、投資家に代わって権利を行使する人(受益者代理人)が予め選任されます。受益者代理人とは、「受益者のために、受益者に代わって受益者の権利を行使する者」です。
顧客分別金信託では、万が一、委託者である証券会社等の金融商品取引業者等が破綻・廃業した場合など、実際に投資家に金銭を返還する際には、信託銀行等[受託者]から受益者代理人を通じて、個々の投資家に資産を安全に返還することになります。

仕組み

主な関係者

  • 委託者兼
    収益受益者※1
    証券会社等(金融商品取引業者)
  • 元本受益者※1
    投資家(証券会社等にお金を預けた人)
  • 受託者
    信託銀行等
  • 受益者代理人
    委託者※2

※1 信託銀行等に預けられたお金は信託銀行等により管理・運用されますが、その運用により生じた収益を得るの人を収益受益者といいます。また、信託銀行等に預けられた財産そのものを得る人を元本受益者といいます。
※2 証券会社等である金融商品取引業者等の内部管理責任者や日本投資者保護基金等

証券会社等が投資家のお金を信託銀行等に預けて管理している段階と証券会社等の破綻・廃業等により投資家にお金を返却する段階の2つの段階に分けてご説明します。

証券会社等が投資家のお金を信託銀行等に預けて管理している段階

1投資家が証券会社等に金銭等を預託

投資家[元本受益者]は、証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]に金銭等を預けます。

2証券会社等が金銭を信託

証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]は、信託銀行等[受託者]と信託契約を締結し、信託銀行等[受託者]に投資家に返却すべき額に相当する金銭を預けます。
このとき、受益者代理人として、証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]の内部管理統括責任者等を選任します。(受益者代理人は、信託された財産(金銭)の残高を確認するなど、財産状況を確り監督します。)

3金銭の運用により生じた収益を委託者兼収益受益者に給付

信託銀行等[受託者]は、証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]から預かった金銭を運用しますが、運用により生じた収益を証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]に給付します。

4追加の金銭等信託、解約

証券会社等の金融商品取引業者等[委託者兼収益受益者]が、追加で金銭等を信託することもあります。

証券会社等[委託者兼収益受益者]の破綻・廃業等により投資家[元本受益者]にお金を返却する段階

1受益者代理人の変更と元本受益権の一括行使

証券会社等の金融商品取引業者等[委託者]が破綻あるいは廃業した場合、受益者代理人は日本投資者保護基金に替わります(※)。日本投資者保護基金[受益者代理人]は、信託銀行等[受託者]に対して、投資家[元本受益者]に代わって権利を行使し、投資家[元本受益者]のお金の返還を求めます。
※但し、証券会社を通じてデリバティブ取引などを行っている場合については、日本投資者保護基金ではなく、弁護士や公認会計士等が選任されます。

2信託財産の交付

1. で、日本投資者保護基金[受益者代理人]からお金の返還を求められたら、信託銀行等[受託者]は、日本投資者保護基金[受益者代理人]に対して投資家[元本受益者]から預かっていたお金をに交付します。

3金銭の返還

日本投資者保護基金[受益者代理人]は、信託銀行等[受託者]から交付された金銭を投資家[元本受益者]に返還します。

よくあるご質問

どうして顧客分別金信託を使うのですか?

信託した財産の名義人は受託者である信託銀行等になるため、万が一、委託者が倒産しても、委託者の債権者が信託した財産を差し押さえることはできません。
これは信託の「倒産隔離機能」と呼ばれています。
顧客分別金信託は、投資家に返還すべき金銭等を保全することが目的ですが、この「倒産隔離機能」という信託の特性から、信託が利用されています。

顧客分別金信託で信託銀行等が預かったお金は、元本割れする心配はないのですか?

そうした心配があることから、法律(金融商品取引法)では、運用方法は、国債や預貯金などの安全資産に限定されております。また、一部の信託銀行等では、元本補てん契約を付しているところもあり、万が一、運用により元本に欠損が生じた場合には、元本部分を信託銀行が補てんします。また、元本補てん契約の付いた信託は、預金保険制度の保護対象にもなっているので、万が一、信託銀行等が倒産しても、元本1,000万円とその利息配当まで保証されます。

元本保証や預金保険の詳細については、「信託利用時の注意点」のページをご覧ください。

信託利用時の注意点

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