信託と税金

信託を利用した場合、税金はどうなるのでしょうか?気になる信託と税金の関係についてご説明します。

設定時、管理・運用時、終了時に課税関係が生じます

信託を利用すると、主に、次の3つの段階で課税関係が発生します。

  1. 信託の設定時
  2. 信託している期間中(管理・運用時)
  3. 信託の終了時

※信託に関する税制の基本的な取扱いを説明するものです。実際の信託の形態により、ここに記載した内容とは異なる取扱いもありますのでご注意ください。

委託者≠受益者:他益信託

委託者=受益者:自益信託

1信託の設定時

<委託者≠受益者(他益信託)の場合:図1>
【図1】のように、委託者とは別の人が受益者になる信託(これを「他益信託」といいます。)の場合、受益者に対して贈与税が課税されます。
ただし、一部の信託について、贈与税が課税されないものもあります。
詳しくは、以下の「他益信託における贈与税課税の例外」にてご説明します。

<委託者=受益者(自益信託)の場合:図2> 
信託では、委託者から信託された財産(信託財産)の所有権は受託者に移転し、受託者が信託財産の所有権を有することになりますが、信託財産は受益者のために管理・運用され、信託財産から生じる収益は受益者が受け取ります。つまり、信託財産の実質的な所有者は受益者となります。
通常、誰かから財産を取得した場合には、その利益を得た人に対して贈与税や不動産取得税などが課税されますが、【図2】のように、委託者と受益者が同一人物の信託(これを「自益信託」といいます。)の場合、実質的な所有者は変わっていないので、贈与税などは課税されません。
ただし、不動産などの登記・登録制度のある財産については、信託の登記・登録に関する登録免許税が課税されます。

2信託している期間中

信託期間中に信託財産から生じる収益については、信託の種類によって、主に次の3つのうちいずれかの方法で課税されます。

1. 収益発生時に受益者に直接所得税(不動産所得、雑所得、利子所得、配当所得)などが課税される
 ・特定金銭信託・ファンドトラスト
 ・単独運用指定金銭信託
 ・有価証券の信託
 ・不動産信託・土地信託
 
2. 収益分配時に受益者に信託の種類によって所得税(利子所得、配当所得、雑所得)などが課税される
 ・合同運用指定金銭信託
 ・証券投資信託・国内公募投資信託・外国投資信託
 ・年金信託(確定給付企業年金信託、確定拠出年金信託、厚生年金基金信託)
 ・特定公益信託

3. 受託者に対して法人税が課税される
 ・受益証券発行信託(特定受益証券発行信託を除く)
 ・目的信託などの受益者等が存在しない信託
 ・2. に該当しない投資信託

※1. や2. のとおり、信託では、実際に収益を得る受益者に課税されることが基本になっており、これを「受益者課税の原則」といいます。詳しくは、「受益者課税の原則」にてご説明しております。

3信託の終了時

信託が終了すると、信託財産は受益者に渡されます。
委託者=受益者(自益信託)の場合(【図2】)、「1」に記載のとおり、信託財産の実質的な所有者は変わっていないので、贈与税や相続税は課税されません。
また、委託者≠受益者(他益信託)の場合(【図1】)については、信託設定時に贈与税が課税されているので、自益信託と同様、贈与税や相続税は課税されません。
ただし、受益者以外の人が信託財産を受け取る場合には、その人に対して贈与税あるいは相続税が課税されます。

受益者課税の原則

委託者から信託された財産(信託財産)の所有権は受託者に移転し、その財産は受託者の名義となりますが、信託財産は受益者のために管理・運用され、信託財産から生じる収益は最終的に受益者が受け取ります。
このように、信託財産の実質的な所有者が受益者であることを踏まえ、税法では、信託財産から収益が生じた場合、実際に収益を受け取る受益者に対して課税することとされています。
これを「受益者課税の原則」といいます。
但し、受益者が存在しない信託や、委託者等が信託の内容を変更する権利や信託財産受給権を有している場合など、「受益者課税の原則」の例外となる信託もあります。

他益信託における贈与税課税の例外

「1」に記載のとおり、委託者とは別の人が受益者になる信託(これを「他益信託」といいます。)の場合、受益者に対して贈与税が課税されますが、次の信託などについては、贈与税が課税されません。

・確定給付企業年金信託、年金信託
・特定贈与信託(6,000万円あるいは3,000万円まで)
  ※障がいの程度により異なります
・教育資金贈与信託(1,500万円まで)
  ※うち、学校等以外の教育資金の場合は500万円まで
・結婚・子育て支援信託(1,000万円まで)
  ※うち、結婚に関する費用については300万円まで

信託利用時の注意点