第99回信託大会(三井住友トラスト・ホールディングス 高倉社長)

2024年04月10日

 当協会は、令和6年4月10日(水)に、経団連会館において、オンライン配信を併用して第99回信託大会を開催いたしました。

 はじめに高倉透信託協会会長(三井住友トラスト・ホールディングス社長)から、社会・経済課題の解決を通じた豊かな未来への貢献、受託者精神に立脚した「安心」の提供について所信を述べた後、鈴木俊一金融担当大臣、植田和男日本銀行総裁からそれぞれご挨拶をいただきました。

 また、神山東京大学大学院法学政治学研究科教授から「人生100年時代の信託と税制」と題するご講演をいただきました。

所信

 大正11年の信託法制定から100年が経過し、これまで以上に、信託業界として、国民のニーズや社会の要請に応じた貢献が求められている。
 いまを生きる「現役世代」のみならず、未来を担う「将来世代」にも目を配り、信託の力で、次の100年に向けて力強く、着実に歩んでいく。

社会・経済課題の解決を通じた豊かな未来への貢献

(1)人生100年時代のWell-being
 人生100年時代においては、長寿化に伴う認知症への対応、急速に進行する少子化やその背景にある若年層の将来不安への対応など、多くの課題が存在する。
 信託業界は、世代ごとのニーズに合わせ、信託ならではの商品やサービスを提供し、国民の「資産形成・運用」、「資産管理」、「資産承継」に貢献してきた。
 今後とも、幅広い世代の国民が安心して健やかに生きていくことができるよう、国民のWell-beingの実現に向けた取組みを継続する。
 また、家計金融資産等の運用を担う資産運用業やアセットオーナーの高度化・機能強化に向けた取組みを加速し、資産運用立国の実現に貢献する。
 これにより、約2,000兆円の家計金融資産が企業への投資に回り、企業の成長が促進され、企業価値の向上・拡大の恩恵が金融資産所得の増加という形で家計にも及ぶ「成長と分配の好循環」の実現を目指す。

(2)ESG・サステナビリティ課題への取組み
 世界的に脱炭素の機運が高まっており、2050年カーボンニュートラルの実現には、様々な分野での投資が必要となり、今後10年で官民合わせて150兆円を超える巨額の資金が必要とされている。
 政府や機関投資家の資金だけでなく、家計金融資産の活用も有用であり、信託の機能を活用した資金還流の促進など多様な取組みにより、カーボンニュートラルの実現を後押しする。
 また、社会がより複雑化している中、多様なニーズにきめ細かく対応し、社会的課題を解決するため、民間の主体的関与が期待されている。
 公益信託法の改正により、担い手の増加や取組みの多様化が見込まれる中、公益信託の担い手である信託業界として、公益活動の活性化にも貢献する。

受託者精神に立脚した「安心」の提供

 社会・経済環境は大きく変化しているが、委託者・受益者と受託者との高度な信頼関係を前提とする信託の基本精神は決して変わるものではなく、今後、最善利益の義務化など、お客さま本位の業務運営が一層求められる。
 フィデューシャリーとして、委託者・受益者をはじめとするステークホルダーから信頼される存在となり、お客さま本位の姿勢と忠実義務をはじめとする受託者責任を全うし、国民や社会への「安心」を提供する。

協会長挨拶(10:13)

ご講演

「人生100年時代の信託と税制」
東京大学大学院法学政治学研究科 神山 弘行教授

講演「人生100年時代の信託と税制」(50:48)

以上