第101回信託大会(みずほ信託銀行 笹田社長)
2026年04月13日
当協会は、令和8年4月13日(月)に、経団連会館において、オンライン配信を併用して第101回信託大会を開催いたしました。
はじめに笹田 賢一信託協会会長(みずほ信託銀行社長)から、信託機能の発揮による強い経済と豊かな社会への貢献および100 年積み重ねた信頼の一層の向上について所信を述べた後、片山さつき金融担当大臣、氷見野良三日本銀行副総裁からそれぞれご挨拶をいただきました。
また、溜箭東京大学大学院法学政治学研究科教授から「これからの信託―歴史と比較法から考える」をテーマにご講演をいただきました。
所信
信託協会は、大正15 年に創立し、信託制度の発達を図り、公共の利益を増進することを目的として活動をしてきた。皆さまから多大なるご支援を賜り、本年1月に、創立100 周年を迎えることができた。本大会は、この節目の年に開催される記念の大会である。この100 年の歴史の中で、我々信託の担い手は、委託者から託された大切な財産を受益者のために管理、運用するという信託の仕組みを礎としつつ、お客さまのニーズ実現や社会課題の解決を図り、商品やサービスを進化させてきた。
令和7年9月時点の信託財産総額は1,848 兆円に達し、信託制度は我が国の社会・経済の重要なインフラを担い、今なお発展を続けている。
これからも、社会基盤を支えているという責任を認識し、専門家として、時代の変化に対応した新たな価値を創造し続けて参りたい。
信託機能の発揮による強い経済と豊かな社会への貢献
経済全体の成長を支え、社会に安心を提供し、更なる価値創造に取組むことで、強い経済と豊かな社会の実現に貢献して参りたい。
(1)資産運用立国の更なる推進
我が国では、「成長と分配の好循環」の実現に向けて「資産運用立国」の取組みが進められ、家計、販売会社、機関投資家、アセットオーナー、企業など、インベストメント・チェーンを構成する各主体に対して様々な働きかけがなされてきた。足元では、令和8年度税制改正関連法の成立により、少額投資非課税制度「NISA」の対象年齢が拡大され、また、コーポレートガバナンス・コードの改訂が検討されている。
我々は、インベストメント・チェーンにおいて、年金などの資産運用を行う主体であるとともに、各主体の取組みを支える様々な役割を担っている。例えば、資産管理機関として、貯蓄から投資へと向かう家計の資産形成の拡大に寄与するとともに、アセットオーナーと投資先企業の双方に対するガバナンス強化に向けたご支援なども行ってきた。
我々は、インベストメント・チェーンにおける重要な役割を、これまで以上に確りと果たしていくことで、資産運用立国を更に進め、強い経済の実現に貢献して参りたい。
(2)変化する多様な社会課題解決への取組み
これまでの歴史を振り返ると、戦後の産業振興資金の供給、高度経済成長期における個人資産形成や企業年金制度の整備、バブル崩壊後のバランスシート調整など、社会課題は時代とともに変化してきた。更に近年では、社会構造の変化に伴い、少子高齢化、生産年齢人口の減少、教育機会の均等
確保など、課題は多様化の様相を呈している。
とりわけ、大相続時代を迎え、我が国を支える数多くのファミリー企業を中心とする、中堅・中小企業の円滑な事業承継は、我々が取組むべき重要な課題の一つと認識している。
また、この4月に施行された新しい公益信託制度の普及を図り、社会全般における公益的活動の活性化に寄与して参りたい。
我々信託の担い手は、信託の持つ財産管理、分別管理、転換機能を柔軟に組み合わせ、永く時代の要請に応えてきた。今後、益々変化する、多様な社会課題に対し、弛まぬ挑戦を続け、豊かな社会の実現に貢献して参りたい。
(3)次代に向けた成長への取組み
足元、生成AI やブロックチェーン技術など、テクノロジーは目覚ましい進化を遂げている。テクノロジーを活用し、お客さまに提供する商品やサービスの利便性向上を図るとともに、新しい金融サービスの創出に向け、努力を重ねて参りたい。
また、スタートアップ企業へのガバナンスに関するご支援など、次代の担い手の成長に資する取組みを進めて参りたい。
100 年積み重ねた信頼の一層の向上
信託の本質は、委託者・受益者からの受託者に対する高度な信頼にある。我々は、これまで100年に亘り、受託者としての責任を全うすることで信頼を積み重ねてきた。
受託者としての責任を全うするには、委託者や受益者に対して誠実に向き合うお客さま本位の姿勢と高い職業倫理を体現する必要がある。加えて、信託財産の多様化、複雑化が進む中、それを管理、運用する受託者には、より高い専門性が求められている。
次の100 年においても、お客さま本位の姿勢のもと、不断に、倫理意識を高め、専門性強化に取組み、信頼の一層の向上に努めて参りたい。
ご講演
「これからの信託―歴史と比較法から考える」
溜箭 将之東京大学大学院法学政治学研究科教授
以上