信託法の改正

平成18年12月に信託法が改正されました(平成19年9月施行)。改正された信託法のポイントは次のとおりです。

1.受託者の義務等の内容を適切な要件の下で合理化

(1)忠実義務に関する規定の合理化

忠実義務に関する一般規定を新設した上で、広く受託者・受益者間の利益相反行為を制限する規定を設けました。

また、一定の要件(信託行為に利益相反行為を許容する旨の定めがある場合など)を満たせば、利益相反行為が許容されること(任意規定)を明らかにしました。

(2)自己執行義務に関する規定の合理化

受託者が第三者に信託事務の処理を委託することが許容される範囲を拡大しました。

2.受益者の権利行使の実効性・機動性を高めるための規律の整備

(1)受益者が複数の信託における意思決定方法の合理化

複数の受益者による意思決定を多数決で行うことを許容するとともに、受益者集会制度や決議に反対する受益者の保護などに関する規定を整備しました。

(2)信託監督人・受益者代理人制度の創設

受益者が未存在の場合に信託管理人を選任することを認めるほか、受益者が特定・現存している場合であっても、受益者のために受託者の監督を行う者(信託監督人)や、受益者のために受益者の権利を行使する者(受益者代理人)を選任することができる制度を創設しました。

(3)帳簿等の作成、保存等に関する規律の整備

受益者に対する情報開示をより合理的・実効的なものとするため、信託財産に関する一定の情報を定期的に受益者に対して提供する義務を新たに受託者に課すなどの規律の整備を行いました。

(4)受託者の行為の差止請求権の創設

信託違反行為についての受益者の救済の実効性を図る観点から、事前の救済手段として受託者の行為の差止請求権を創設しました。

3.多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備

(1)信託の併合・分割の制度の創設

信託の併合・分割の手続を明確化するとともに関係当事者間における適切な利害調整を図るために、新たに規定を設けました。

(2)受益証券発行信託、限定責任信託、自己信託等の創設

信託を多様な形で利用するというニーズに応えるため、新しい類型の信託(受益証券発行信託限定責任信託目的信託自己信託)を創設しました。

また、担保権の信託家族信託等に関する規定を整備しました。

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