田辺会長定例記者会見

平成20年10月16日

冒頭、上野専務理事より、11/1に経団連会館において開催される「信託経済研究会20周年記念シンポジウム」の開催案内があった。

信託法改正

問:
信託法改正から1年ほど経過したが、これまでの取組みの成果と今後の展開について教えてほしい。
答:
「新たな類型の信託」というのがかなりできたが、現状、商品化されているのは担保権の信託、これが2、3の社で商品化されているが、各社とも現段階では、ニーズの掘り起こし、その掘り起こしたニーズに基づいた商品の開発といった状況ではなかろうかと思っている。ここ6か月から1年でさらに新しい類型の信託が商品化されてくるのではないかと思っている。

事業承継税制

問:
信託協会より、9月に税制改正要望を出されているが、その中で、事業承継税制の信託への適用を主要要望項目と位置付けている。その背景を教えてほしい。
答:
これは中小企業の事業承継の際、信託を活用する場合にも税制上の優遇措置を適用してもらいたいというのが趣旨である。その背景として、中小企業は、ご存知のように、地域経済の活性化とか、雇用の確保とか、日本経済の重要な役割を担っている。中小企業の事業承継がスムーズに行われるようにというのが、我々が要望している趣旨である。

金融市場

問:
欧米の金融市場の混乱が続いており、日本でも本日、株価が下落している等影響を与えているが、金融市場の現状と混乱について見解を伺いたい。
答:
今、G7で主要各国とも金融機関に資本注入するという危機回避案を打出して、いったんは世界的な連鎖株安が収まったかに見えたが、また、今日も相当な下げになっている。これは、アメリカ、世界経済における実態経済の先行き不安が株価に現れているものだと判断しており、そう一朝一夕に収まるものではないと感じている。

時価会計

問:
昨日夕方、会長もご出席されて、金融庁で大臣との意見交換会があり、その席で地銀協の会長から時価会計の一時停止という要望が出たが、どう考えているか。
答:
これは、現在のような特殊な状況で、大きく株価が変動したときに時価会計によって収益が動いてしまう、資本が動いてしまうというのは、確かにあまり望ましくなく、何か工夫があれば一番いいと思っている。今、私の中にこういう方法をとればいいという具体的な案はないが、実感として何らかの工夫が必要ではないかと思っている。
問:
それは、打出すとしたら、今期から打出すべきということか。
答:
そう考える。
問:
時価会計の停止も含めて何らかの方法ということか。
答:
今のままではない、何らかの方法が必要ということである。

不動産市況

問:
秋になってから、不動産業者・デベロッパーがたて続けに倒産しており、センチメントも悪化していると思うが、信託業界への影響について伺いたい。今後、不動産業界の見通しとそれによる影響について、伺いたい。
答:
不動産については、これまで欧米の投資家、ないしはファンドがかなり大きな役割を果たしてきた。この2つとも資金の調達難で、現在は取引が成立しない。それから、最終需要者も優良な不動産を欲しがっており、ニーズはあるが、価格が折り合わない。この2つの面で不動産市況がかなり低調になっている。この状況が回復していくにはどういうことが必要かというと、金融面から安定した資金が不動産業界に流れるようになること、それから、もう一つは、やはりもう一段、価格調整が起こることだろうと思う。ただ、一方でアジア等の投資家で借入れを必要としない、資金を持っている投資家が優良物件を買う動きも出ている。ある意味で、少し違う要素で取引ができつつあるということなので、今までの話をまとめると、ある程度、流動性が出てくる、物件がもう少し安くなってくるということであれば、優良不動産に対するニーズは底堅いものがあるので、ここ半年から1年くらいでもう少し戻してくるのではないかと思っている。もし戻らない場合には、もともと信託銀行の不動産業務は、仲介業務が主ですから、その仲介業務が減るということになるので、かなり厳しい影響を受けざるを得ないということかと思う。

経済の見通し

問:
さきほどの世界経済、実態経済への影響が出てくるということで、この混乱が収まるには、まだ、かなり時間がかかるということか。いったいどれくらいかかるか。
答:
混乱という言い方がどうかとは思うが、要するに落ち着きを取り戻すには、やはりもう少し時間がかかる。世界経済が安定するまで。では、世界経済が安定するまでというのが、1年後か、2年後かとそう正確に当てるほど自信はないが、半年や1年では無理だろうと思っている。

株式市場の影響

問:
株式市場の回復が、かなり時間がかかるということだが、信託銀行の場合、手数料収益にとって重しになると思う。例えば、年金とか、投信販売などどのような影響があるか。
答:
投信販売には、すでに大幅な影響を受けている。個社で言うと、上期で計画ベースの半分くらいになっているので、こんな状況で進むのではないかと思っている。
問:
今期は、それでかなり収益が悪化するということか。
答:
当初予定していたよりは落ちてきている。上期の悪い状況が下期でもずっと続くとやはり厳しい状況となる。

公的資金注入

問:
欧米の公的資金注入の枠組みが決まり、一部で注入に向けて具体的な動きになっているが、日本の経験から重ねあわせると、どういう段階に今あると考えられるか。日本で言うと、佐々波委員会のときから始まって、最後、大掛かりにお金を突っ込んだのは、りそなさんだと思うが、その過程と重ねあわせるとどうか。
答:
形の上では、りそなさんに最終支援をした段階と同じだと思う。ただし、その時との違いは、特別検査などを通じて、日本は被害額がかなりはっきりしていた。それが、欧米では形の上では、最終段階にきているものの、いくら損失を被っているのか、はっきりしていないという違いがあるので、正確にどの段階かというのは難しいのではないか。
問:
そういう意味で言うと、欧米の金融機関の、例えば、不良債権比率がどのくらいか、損失がいくらかなど、わからない段階で入れているのは、日本の入れたときと比べると初期の段階での公的資金注入という意見もあるようだが。
答:
確かに、初期の段階と言うこともできるが、その注入金額が、例えば、初期の佐々波委員会の規模ということではない。相当大きな金額を入れるので、日本と正確に比較するのは難しいと思う。日本の場合には、特別検査を行って、足りる金額を入れた。アメリカの場合には、相当の金額を入れることを決定したが、足りるか足りないかはわからない。

業界再編

問:
経営環境が悪化している中で、アメリカでも業界再編が進んでいるが、そういう動きの機運が感じられるか。
答:
今のところ、再編の方に動いてこの状況を乗り切ろうという動きは私の知っている限りではない。やはり、被害は大きいが、各社のやり方で乗り切れると判断されているんだろうと思っている。

以上

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