池田会長定例記者会見

平成19年10月18日

冒頭、新原専務理事より、パンフレット「やさしい信託のはなし−暮らしと信託−」について紹介があった。

前半回顧と後半の課題

信託協会長の池田でございます。4月4日の会長就任以来、ちょうど半年が経ちました。当社としては14年ぶりの会長会社就任ということで、緊張してスタートしましたが、なんとか皆さんのご支援もいただきながら、折り返し点を過ぎたというところであります。冒頭、若干時間をいただきまして、その前半の回顧と後半の課題ということでお話しさせていただきたいと思います。

前半の回顧ですが、この半年間を振り返って、最大の課題はなんと言っても9月30日に施行された新信託法、そして金融商品取引法、この対応でありました。ご存知の通り、信託法は84年ぶりの抜本的な大改正、そして金商法は幅広い金融商品に対する横断的な法制であります。信託法は昨年の12月、金商法は昨年の6月に成立しましたが、政令等が公表されてパブリックコメントにかかったのは今年に入ってからでありまして、施行直前まで多岐にわたる内容の検討を行ってきたということであります。

信託財産残高は順調に推移しています。昨年の9月は、ちょうど700兆円を超えたところですが、今年の3月末で744兆円、そして8月末は速報ベースですが、781兆円と、順調に増加しております。

また、2004年の12月に信託業法が改正されまして、担い手の拡大ということが改正のポイントの一つでありましたが、業法改正からちょうど3年ぐらい経ち、新しく誕生した信託会社が12社ございます。本年4月以降で申し上げると、4月にそのうちの2社が、9月に1社が信託協会に加盟し、これで加盟会社は54社ということで過去最高の加盟社数になっております。

さらに、信託法改正を契機に広報を充実していく、その施策の一環としまして、「暮らしと信託」などパンフレットの改訂・発行等をいろいろ行いました。また、この10月1日にはホームページを全面的にリニューアルしました。デザインを一新して、コンテンツやナビゲーション機能を充実しておりますので、皆さんもぜひご活用いただきたいと思います。

また、協会の要望として、6月には規制改革要望、そして9月には税制改正要望を関係省庁宛て提出いたしました。以上が前半の回顧であります。

後半は課題を3つ掲げております。まず、何と言っても信託法改正の具体的な成果を出していくということであります。協会加盟会社が競って新しい信託法にあわせた商品やサービスをお客さまに提供することが最も大事なことだと思っております。具体的な取組みということになると、あくまでも個社ベースの話になりますけれども、例えば、当社では、今般の改正で可能となった担保権信託「セキュリティ・トラスト」の第一号案件を受託することとなっております。今後は「家族信託」とか、あるいは「目的信託」など新しい類型の信託、そういったものの開発を進めていきたいと、このように考えています。

課題の第二は、税制改正要望の実現であります。主要要望項目を2点掲げておりますが、一つは「企業年金等の積立金に係る特別法人税の撤廃」であります。もう一点は「土地の信託登記等に係る登録免許税率の特例措置の延長」を要望しております。いずれも豊かな国民生活の実現や、あるいは経済の活性化に寄与するものであると考えておりますので、実現に向けてこれから努力してまいりたいと、このように思っております。

三点目は、次期信託業法の改正や、公益信託制度の見直しに、協会としてしっかり対応していくということであります。信託業法の改正では、高齢者や障害者の生活を支援する、所謂、福祉型信託の検討などが行われる予定になっております。また、公益信託については、公益法人制度改革にあわせまして、制度の見直しが行われる予定になっています。私ども信託協会では、福祉型信託や公益信託の実態調査のため、先週の9日から米国に調査団を派遣しておりまして、ちょうど今日帰国する予定になっております。信託業法の改正や、あるいは公益信託制度の見直しは、今後、審議会等で検討されると聞いておりますが、われわれの実務の経験や、あるいは今度の調査団の調査結果を踏まえまして、積極的に協会としても提言していきたいと考えております。

協会長就任以来、信託に関しまして様々な方々とお話をする機会がありましたが、信託法の改正を機に信託への期待というのは非常に高まっているな、と痛感しております。これから後半戦に入りますが、この期待に応えられるよう、精一杯、努力してまいりますので、引き続き信託協会の活動に対しまして、ご理解、ご支援を賜わりますようお願いします。

サブプライム問題

問:
この夏以降、サブプライムローンが問題になっていますけれども、業界ではどういった影響があるか。資産の流動化といった信託などもあるが、そのあたり、会長の受け止め方、見解はどうか。
答:
サブプライムローン全体の問題に照らしますと、サブプライムローンに端を発して、金融市場に信用収縮が発生しています。サブプライムローンの8割くらいが証券化されており、さらにCDOなどで再証券化され、リスクの所在、あるいはリスクの大きさというのがわからなくなっているということがあります。さらに、格付けの信認が揺らいでいるということと、あとは、フェアバリューが不明になっているということで、疑心暗鬼、不安心理が高まっているということが金融市場で起こっていると言えます。ただ、これもFRBやECBが大量の資金供給をしたり、あるいはFFレートを下げたり、または、昨今、話題になっている基金を創設したりとの動きの中で、ある程度、収まってくるのではないかと思っています。しかし、先般、欧米の金融機関の第三クォーター決算発表がございましたけれども、本決算が発表される来年1月くらいまで様子を見ないと安定度がわからないのではないか、また、米国の住宅市場では、今日も記事に出ておりましたけれども着工件数14年半ぶりの低水準とか、あるいは在庫もかなり高くなっているということで、その調整は来年半ばくらい、あるいは人によっては来年いっぱいくらいかかるだろうという意見もある中で、実体経済への影響もよく見ていかないといけないかなと思っています。ご質問の金銭債権の流動化ということでは、私どもでは信託受益権を販売しておりますけれども、受託にあたって委託者や金銭債権の内容を吟味しておりますので特に問題ないと思います。実際スプレッド面や販売面で支障をきたしているという報告は受けていませんし、日本の金融機関ではそれほど大きな問題になっていないということも背景にあるかと思いますけれども、日本の投資家の方もその辺は冷静にご覧になっているのかなと思っています。

不動産市況

問:
マンション販売、不動産市場にやや変化があると思うが、信託銀行は不動産業務をお持ちですけれども、業界の影響というのは、どう受け止めているか。
答:
この前、基準地価が公表されましたけれども、下落もだいたい落ち着いたという感じがします。ただ、都市部と地方、あるいは物件によっての二極化現象というのが出てきているかなと思っています。昔と違って、日本全体の地価が同じように上がるというような感じではなくて、収益還元法が浸透してきまして、物件ごとのキャッシュフローを見る時代になっていますから、ばらつきが出てくるのかと思っています。三大都市圏の上昇率が高いということですけれど、我々実務をやっていると、バブル期と違って、銀座界隈でもあるところでは坪1億の値が付くところもありますが、一本ちょっと中に入ると、全く違った値段になって出てくるということで、正に物件ごとにどのくらいのキャッシュフローがあがるのかということをきちっと見ているという感じがします。今回のサブプライム問題で一部ファンドの動きがうんぬんされていますけれども、Jリートの時価総額は5月末が6兆8千億円くらいでピークだったかと思いますけれども、それから、現在5兆円ちょっとくらいになっていると思います。Jリートの時価総額も去年の秋から今年の前半にかけて、かなり上がりましたけれども、それを考えると、全体のトレンドから見て今回の下落はその上昇分の調整局面という見方ができるのではないかと思います。そもそもJリートの価格が下がっても不動産そのものの価値が毀損しているというわけではありませんので、引続き、不動産は堅調な動きが続くのではないかと思っています。日本の経済は緩やかに拡大しており、設備投資とか、雇用も拡大しておりますので、例えば、オフィス需要も堅調な動きがありますので、そういった実需に裏付けされた動きという側面から見ると、大きな下落は考えられないと思っています。

サブプライム問題

問:
サブプライムの影響ですが、金額的に協会として、業界でどのくらいあるか把握しているか。
答:
協会としては把握しておりません。

不動産市況

問:
不動産が引続き堅調ということで、信託銀行の不動産部門の数字はいいのですが、それはそのまま好調が続くということか。
答:
先ほどの私募ファンドとか、Jリートとかの調整局面はあっても、実需とかを勘案すれば、まだまだ続くと思います。それと不動産が金融商品化されたことにより、ある程度金利裁定が働くようになっているので、どこまでも暴落するとかということはなくなっていると思います。

信託財産残高

問:
信託財産残高は、年率換算で12%伸びているということなのですけれども、残高が伸びている主な理由とか、背景をどう考えているか。
答:
信託財産を大きく資産運用型、資産管理型、資産流動化型と分けますと、資産管理型信託のうちの投資信託の急増、だいたい90兆くらいあるかと思いますが、それが増加しているということ、それから流動化型信託、すなわち金銭債権あるいは不動産の流動化型の信託が増加しています。
問:
背景としては、貯蓄から投資への流れの中で伸びているということか。
答:
投資信託については、正に貯蓄から投資への流れの反映だと思います。

金融商品取引法

問:
9月30日に金商法が施行になったのですけれども、その影響ですが、例えば投信の販売とかに影響はあるか。
答:
まだ、施行から2週間ですけれども、実際にお客様に接しているところの話を聞きますと、説明時間が長くなっています。ただ、我々もリスク性商品を初めて売るわけではありませんから、リスク性商品の販売は従前からかなり慎重にやってきており、金商法の施行を契機に、より丁寧に、きちっとお客様の属性だとか、ニーズを伺ってということになりますから、どうしても説明時間がかかっていますが、これも我々やお客様が慣れてくれば大きな影響はないと思います。
問:
売行きが鈍化というようなことはあるか。
答:
正確な数字はまだ、始まったばかりなのでつかんでいません。接する時間が長くなっているということは、数は少なくなっているかもしれない。ただ、それが、金商法の影響なのか、市場環境の影響なのか、そこは正確にはわかりません。

郵貯

問:
郵貯について、かなり前ですが、信託への参入ということを表明していて、その後、具体的な動きがないように思っていますが、今後、何か懸念していることはあるか。
答:
今回の実施計画の中には、うたわれていないと思いますが。
問:
今後、どういう動きになるかわかりませんが、警戒する面はお持ちか。
答:
仮定の話にはお答えできません。

郵貯

問:
信託への参入に限らず、ゆうちょ銀行そのものに対して、システムの問題もあったようですが、全体的にどういう印象をお持ちか。
答:
郵政の民営化ということで、民営化委員会で言われているような公正な競争条件の確保とか、規模の縮小とか、経営管理体制の整備とか、そこは郵政民営化の趣旨を踏まえた動きというのを期待したいと思います。

信託法の改正

問:
信託法の改正の絡みですが、家族信託や目的信託の商品開発をしていきたいということですが、これは具体的にどういうものを想定しているか。
答:
家族信託というのは、これだという定義がないのですが、例えば、新しい信託の類型の中で、遺言代用信託とか、後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託ができるようになりました。そういうものが家族信託と言われています。目的信託は、受益者の定めのない信託のことですが、公益信託も目的信託の一部です。それが、もっと広い概念で信託ができるようになったということです。例えば、地域住民の方が資金を出し合って子育て費用を賄うとか、防犯活動の費用を賄うとかいうこともできるのではないかと思います。いろいろこういうことができるようになりましたということで、お客様とか社会のニーズを我々も一緒になって組上げて、これから商品化していくことになります。
問:
具体的な商品化というのはどれくらいになるか。
答:
今、各社ベースでやっていますのでわかりません。先ほど申したとおり、信託法改正の具体的な成果を早く出していくことかと思います。

以上

ページのトップへ戻る