田辺会長就任記者会見

平成20年04月02日

冒頭、新原専務理事より、本日開催された理事会において、信託協会の新会長に中央三井トラスト・ホールディングス 田辺和夫取締役社長、新副会長に三菱UFJ信託銀行 上原治也取締役社長が互選され就任した旨、また、新一般委員長に中央三井トラスト・ホールディングス 住田謙専務取締役が就任した旨の紹介を行った。

続いて、第83回信託大会を4月14日(月)午後3時から経団連会館にて開催し、金融担当大臣と現在空席となっているが、日銀総裁にご挨拶をお願いしているほか、東京大学の神田教授に「信託制度の展望」と題する講演をしていただくことになっており、引続き懇談の席も用意しているので、記者クラブの方々にも是非出席していただきたい旨案内を行った。

また、平成20年度の信託研究奨励金の募集の開始について、応募要領とポスターを配布し、記事でとりあげてもらいたい旨説明を行った。

会長就任の抱負

このたび、信託協会会長に就任いたしました田辺でございます。これから1年間よろしくお願いいたします。就任にあたりまして若干の抱負を申し述べたいと思います。

ご高承の通り、信託協会は、「信託制度の発達を図り公共の利益を増進すること」を目的として設立された公益法人であり、設立以来、信託制度の普及・健全な発展のための活動に取組んでまいりました。

これまでの間、信託制度は、わが国社会経済の重要なインフラとして発展を続けてきており、今や信託財産総額は800兆円を超える規模に拡大しております。

このように、信託制度の存在感が増す中、まず申し上げたいことは、「信託を活用し、国民経済・社会へ一層貢献していきたい」ということであります。

一連の信託関連法の改正により、信託の基盤整備が格段に進みました。この結果、多様化する社会のニーズに対して、より柔軟な対応が可能となり、信託の利便性は大きく向上いたしました。また、社会の信託機能への関心は、今回の法改正を契機に、従来にも増して高まってきているところでございます。

こうした中、私ども信託の担い手は、創意工夫を積み重ねることにより、利用者の期待に積極的に応えていかなければならないと考えております。

「貯蓄から投資へ」の流れの中で、引続き、信託を利用した魅力ある金融商品の提供を進め、また、わが国の経済・産業が直面する諸課題に対しては、例えば、排出権や担保権の信託などのように、「新たな類型の信託」も存分に活用し、具体的な解決策の提供に努めてまいります。

さらに、本格的な少子高齢社会を迎える中で、個人の財産管理、資産の承継に資するような信託の研究・開発も進めていく所存です。

新たな信託法制の活用は緒に就いたばかりですが、一日も早く本格的に活用され、これまで以上に利用者のニーズに応える重要な制度となるよう、不断の努力をしていくことが、私どもに課せられた重要な使命であると強く認識しているところであります。

信託制度の新たな発展に向けて、信託の可能性を追求するとともに、その機能を遺憾なく発揮することにより、わが国経済の持続的な成長と、豊かで実りある社会の実現に貢献できるよう、一層努力していく所存でございます。

次に、申し上げたいことは「信託制度の健全な発展」について、であります。

信託は、委託者・受益者と受託者との間の「高度な信頼関係」を基礎とした制度であり、この本質は、新しい信託法制の下でも、何ら変わるものではありません。

私どもは改めて負託された信頼、信認の重みを自覚し、受託者としての責任を果たしていくことで、これまで長年にわたって築き上げてきた信託制度に対する信頼を守り、その健全な発展に尽力してまいりたいと考えております。

今後、公益信託制度について、先行して改革された公益法人制度と整合性の取れた制度とする観点から、所要の見直しが予定されております。さらに、金融商品取引法、各種税法など、信託制度に関連する法令についても改正が見込まれているところでございます。

これまで積み重ねてきた実務上の経験を活かし、より利便性が高く、使い勝手のよい信託制度の構築に向け、規制改革、税制改正要望等の提言を積極的に行ってまいる所存です。

以上、信託協会長としての抱負を申し述べさせていただきました。

最後になりますが、引き続き信託協会の活動に対しまして、ご理解、ご支援いただきますようお願い申し上げます。

新たな類型の信託

問:
会長が抱負で触れられた「新たな類型の信託」について、信託協会としてどのような取組みをしていくか。
答:
「新たな類型の信託」というのは、かなり個別性が強い。我々で既製商品を用意して、それを拡販するということではなく、委託者のニーズに個別に応えて地道に商品として作っていきたい。また、新しい類型の信託ゆえ、まだ検証すべき点もあり、例えば、弊害が出てくるようなこともあるかもしれないので、その防止措置というのも提言していきたいと思っている。

信託の担い手の拡大

問:
今後、NPOや弁護士などの信託の担い手が拡大していくという方向性が出ていますが、協会としての見解はどうか。
答:
基本的に担い手が拡大するのは歓迎である。担い手が増えるほど、ポピュラーになるし、我々としてもそれは歓迎だが、担い手が増えることによって、問題が生じることのないよう、慎重に考えていきたい。2つがセットなのだろうと考えている。

JDR

問:
日本版のADRであるJDRが上場される見通しになったが、このJDRの普及の期待、見通しについて教えていただきたい。
答:
実際にできたわけではないので、はっきりしたことは申し上げられないが、こういう話題が出てきたことで、今後普及していくのではないか。これについても制度面での整備はしっかり行っていく必要がある。

サブプライム問題等の影響

問:
年度末が終わり新年度に入ったが、サブプライム関連だけではなくて、株もかなり下がっている。サブプライム関連損失だけではなく、金融機関の損失、減損なども含め膨らんでいると思うが、その影響はどうか。今後あとを引いて長引くようなことはあるか。
答:
他社のことはわからないので私どもに限って言えば、サブプライムの直接の影響はないものの、株安の影響等により減損が起き、業績を修正している。今後、それ以外のもので、どういう影響を受けるかというのは、実体経済を通じてということになると思う。実体経済がもし不況になるのであれば、それを通じてあらゆる影響を受ける。特に、日本の場合、一番心配なのは、好調な企業業績も主に輸出関連企業が牽引してきたということであり、ここにきて、原料高、円高、米国経済の減速等の影響がどうなるかにより、輸出に陰りが出てきた場合には、やはり日本の景気は深刻な影響を受けると考えざるをえない。

信託財産残高

問:
去年の信託財産総額の残高は700兆円だったかと思うが、信託財産の今後の伸びについてはどうか。
答:
現在は、800兆円となっている。信託は、一般論でいうと少量で多品種なため、財産額が爆発的に伸びることはないが、例えば、金銭とか不動産が活発な時には、どんどん伸びていくものである。こういうものが伸びない時には、著作権や排出権等で財産額が伸びるというものではない。現状では、不動産の信託等が堅調に伸びている。

事業信託

問:
事業信託に関する企業側の関心はどうか。
答:
事業信託は、重要な事業を分離するという点で、一つの会社を設立したのと同じであり、税制も法人への課税と同等のものになっている。それでも分離した方が資金調達や事業再編がやりやすくなるというニーズもあると思う。ただ、これも制度面での不備がないか、引き続きチェックしていく必要がある。

以上

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