岡内会長定例記者会見

平成21年10月15日

冒頭、上野専務理事より、平成22年度税制改正要望について、9月24日実施のニュースリリースに基づき説明を行うとともに、また、リーフレット「公益信託」および「特定贈与信託」について紹介があった。

半年の振り返りと今後の取り組みについて

信託協会長就任半年を振り返り、就任時に掲げた3つの抱負について、振り返りと今後の取り組みについて申し上げます。

まず1点目の「信託制度の健全な発展」につきましては、より多くの方に信託を知っていただくことの重要性を認識し、リーフレット類の作成等に加えて、今年度から新たに一般の人にも広くご参加いただける「信託オープンセミナー」を2回開催しました。本セミナーには、累計で約800名のご出席をいただいており、今後もこのような取り組みを通じ、「信託」をより広く知っていただく活動を続けていきたいと考えています。

2点目の「信頼の確保」につきましては、先月、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(以下、JDC信託)が信託業の免許を取り消され、信託協会を退会するという出来事がありました。このような事態に至ったことは、信託協会としても非常に遺憾であり、残念です。今後とも、信託協会としては、「信頼の確保」を最重要課題と考え、「コンプライアンスに関する研修会」をはじめとした、各種法令遵守に関するセミナーや研修等を通じ、加盟各社の意識向上に努めていきたいと考えています。

3点目の「信託機能の発揮による社会、経済への貢献」につきましては、従来より、様々な取り組みを行っておりますが、社会のニーズに対応した多様な分野での信託の利用促進、年金制度のさらなる充実、世代間の資産承継の円滑化等は、特に社会的な要請が強い分野と認識しています。今後もこれらの分野を中心に「信託機能の発揮による社会、経済への貢献」に向け、必要な規制改革や税制改革等の要望実現に努めていきたいと考えています。

以上、残りの半年につきましても、就任時に掲げましたこの抱負に沿って、引き続き地道に活動してまいります。

 

景気認識

問:
景気について伺いたい。年明け以降、二番底に向うのではという根強い懸念があるが、足元とこの先をどのようにみているか伺いたい。
答:
足元の景気は、春先以降に底打ちし、回復に向っている過程であると認識しています。具体的には、3月中旬に株式が反発し、そこからやや遅れて経済そのものが回復しているということです。これは、各企業の生産調整等、様々な取り組みがすすんできたということ、中国、アジアを中心に需要が回復してきているということ、加えて、政府・日銀の各種政策が奏功しており、回復軌道に乗ってきているのだと考えています。一方、今後の見通しでは、足元の円高や米国の景気回復動向、また、国内の雇用や個人消費の回復動向等において、やや不透明な状況が残っていると考えています。これらの不透明な状況をもって二番底に向かうとは思っていませんが、景気は順調に右肩上がりで回復しているのではなく、様々な財政出動支援を受けながら一生懸命回復過程に向っている途上ですので、自律回復のプロセスに上手く乗るまでは、深さは別として下落ちの懸念がないとは言い切れません。ただ、現状の様々な取り組みが継続されるのであれば、乗り越えていけると考えています。
問:
不動産についてはどのようにみているか伺いたい。
答:
不動産動向をみる上では、いくつか切り口があります。マンションでは直近の契約率が好不調の境目とされる7割を超えてきたこと、販売戸数も上向きに転じてきたことから、1年近くの調整を経てようやく需給が折り合いはじめており、回復基調に入っていると考えています。一方、投資用不動産においては、まだ活発な商いが行われるといった状況に至っていないものの、ファンドやREIT等の資金調達難は沈静化しはじめており、投げ売りがでるのではないかという懸念はなくなってきています。「官民ファンド」の設立がセーフティネットとして寄与しはじめていることの表れであり、投資用不動産においても価格の底打ち感が出はじめれば、回復へのターニングポイントが来るのではないかと考えています。また、実需に基づく不動産の動きも出はじめてきている実感を持っています。

JDC信託の問題

問:
JDC信託の件は、信託業界の信頼を傷つけたと思うが、今回の件の教訓や信託協会として取り組んでいくことを伺いたい。
答:
信託協会は信託業を営んでいる事業者が任意で参加し、広く信託の普及・認知に努めていくことを目的とし、加盟会社に対して強制力のある団体ではないものの、今回の件を教訓として、改めてコンプライアンスやガバナンスそして信託の精神といったものを加盟会社に、より一層徹底していくということだと考えています。

投信販売の今年度下期見通し

問:
投信の販売状況について、上期は販売が大分持ち直したとのことだが、下期もこのままのペースで回復していくと考えているか伺いたい。
答:
個社として回答しますが、今後の投信の販売状況を考える上では、2つの要因が重要だと考えています。1つ目は、この上期の投信販売の持ち直しは、3月に株式相場において底打ち感が出た際に、個人のお客さまが投資のタイミングとして「買い」という判断を行ったことです。2つ目は、日本の個人金融資産は1,500兆円と言われていますが、預金等の金利が成長率との関連で引き続き低いことを背景として「貯蓄から投資へ」の大きな流れは変わっていないということです。お客さまはより有利な投資という観点で、投資のタイミングをみているということですから、相場が底打ちし、上昇すると判断したところ、また、相場が上がっていく過程では、投信販売も伸びていくものと考えます。今後も相場の波に連動しながら、お客さまの資金も動き、全体として「貯蓄から投資へ」の流れが変わらない背景があるなかでは、投信販売のペースも基本的には伸びていくとみています。
問:
基本的な投資意欲というのは回復してきているのか。
答:
お客さまの投資意欲は回復傾向にあり、最近ではエマージングに関心が集まっており、また分配型の投信には根強いニーズがあります。

自主規制機関

問:
JDC信託が信託協会を退会したのはいつか。
答:
9月15日に免許取消処分により、自動的に退会となりました。
問:
信託協会は加盟会社に対する強制力がないとのことだが、今後、自主規制機関に近づく等組織を強化する方策は検討しないということなのか伺いたい。
答:
平成16年の信託業法の改正によって、事業会社の参入にあたっては業務種類に応じて信託業法の定めに基づき、当局が免許あるいは登録の過程で審査するという枠組みができています。今回このような残念なことがありましたが、現在の枠組みを超えて、信託協会が自主規制機関になるという必要性まではないのではないかと考えています。

ノックイン投信

問:
ノックイン投信が去年のリーマンショックで相当ノックインされて、顧客から苦情が後を絶たないと聞いているが、コンプライアンスの観点でどういう問題意識を持たれているか伺いたい。
答:
ノックイン投信について信託協会へ苦情が寄せられているとは聞いておりません。ノックイン投信の取り扱いについては、運用会社、販売会社それぞれの個別の判断のため、信託協会としてコメントする立場にはないと考えています。

21年度上半期決算の状況

問:
三菱UFJ信託銀行の中間決算について、どういう状況か伺いたい。
答:
中間決算については、現在集計中であり申し上げることはありません。

不動産市場の動向

問:
実需が戻ってきたという発言があったが、戻り方に特徴があるか伺いたい。
答:
不動産の実需の動向については、具体的に大口の取引が連続してできているまでには至ってはいません。現状の特徴を敢えて申し上げると、不動産の需要には、投資用不動産としての取得、本業のための取得、マンション用素地としての取得等が考えられますが、実需のうち、マンション用素地の取得については、在庫調整がすすんでおり、取得ニーズが出はじめてきているとみています。一方、投資用不動産の取得ニーズについては、投資家の期待利回りと売り手の価格がまだ折り合わない状況が続いているのではと考えており、全体の不動産実需の動向としては、底打ち、反転に近づきつつある状況とみています。

返済猶予

問:
現在検討がすすめられている「返済猶予」の問題に対して、金融界全体としては反対の意見が根強いと聞いているが、改めて是非を含めて所見を伺いたい。
答:
信託協会は信託の協会であるため、ご質問の件につきまして、信託協会長としてのコメントはありません。ただ、銀行業を営む個社の立場から申し上げますと、現段階で正式な案が公表されているわけではありませんので具体的なコメントはできませんが、成案に至る過程で金融機関の意見・要望を聞いてすすめていただいているとのことなので、成案に意見が反映されるような形で引き続き検討していただけることを期待しています。
問:
「返済猶予」の件に関連して、証券化商品等では様々な影響が考えられるが、関心を持たれていることについてお伺いしたい。
答:
現状の案をみているわけではないので具体的なコメントはできませんが、証券化マーケットに影響があるとするならば、そういう影響も考慮に入れて検討をすすめていただきたいと考えています。

税制改正要望

問:
税制改正において、民主党政権のもと租税特別措置法(以下、租特法)の全面的見直しが検討されているが、登録免許税等信託業界に与える影響、また、税制改正プロセスの変更に伴い、信託協会での要望活動に変化が生じるのか伺いたい。
答:
租特法に基づく信託関連の税制について、全面見直しが政府の大方針として実施されるのであれば、租税特別措置に至った経緯や趣旨、背景といった面に配慮の上、恒久的な措置を講じていただきたいと考えております。また、税制改正のプロセスは、関連省庁での公募等に変更されていますので、信託協会としても、それに沿った要望活動を行いたいと考えています。
問:
従来のような自民党税調所属の議員に直接働きかけるようなことは行わず、今後は関連省庁の窓口に対してのみ要望を行うとの理解でよいか、あるいは民主党議員に対しても従来同様の働きかけを行うつもりなのか伺いたい。
答:
(上野専務理事より回答)現時点で伺っている新しい税制改正のプロセスでは、個別の業界が直接働きかけるようなことは行わず、公募等にて、広く一般からの要望を各関連省庁が受付後10月末迄に要望を取りまとめ、財務大臣をトップとする政府税制調査会にて審議を行うとのことから、新プロセスに従う形で税制改正要望を各関連省庁に対し、改めて提出するための作業をすすめているところです。

以上

ページのトップへ戻る