岡内会長定例記者会見

平成22年03月18日

冒頭、上野専務理事から、ニュースリリース「暴力団排除条項に関する参考例の策定について」説明があった。

会長として1年を振り返って

昨年4月の会長就任からまもなく1年が経過いたします。この間の皆様のご支援に深く感謝するとともに、心より御礼申し上げます。本日が会長として最後の会見となりますので、この1年間を振り返った感想などを、お話しさせていただきたいと思います。

昨年4月に開催いたしました「信託大会」におきまして、私は「信託の更なる発展に向けて」と題した所信を述べさせていただきました。この1年、信託業界では、福利厚生の充実に資する従業員持株会型のESOP信託や、外国為替証拠金取引(FX)の証拠金などに係る資産保全型信託など、信託機能を活かした新たな商品・スキームの開発・提供を通じ、着実な発展を見た年だったと感じております。

信託協会としても、これまでの調査・研究の成果を税制改正要望や規制改革要望に活かし、その結果、先の信託法改正による新たな類型の信託である受益証券発行信託に係る税制措置および制度改善や、老後生活の安定の一助となる確定拠出年金におけるマッチング拠出などの要望が認められ、信託の更なる発展に意義ある成果となったものと考えております。

また、信託制度の健全な発展の面では、今年度、新たに広く一般の方を対象とした「信託オープンセミナー」を3回開催するなど、信託をより多くの方に知って頂く活動を展開するとともに、信託に関する学術研究の振興に資する助成等を引き続き行って参りました。こうした普及・振興活動を通じ、信託協会が我が国信託制度の情報発信の要となるよう今後も努めて参りたいと思っております。

最後になりますが、会長会社の務めは、4月に住友信託銀行に引き継ぐこととなりますが、今後とも信託協会の活動に対して、一層のご理解、ご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

景気認識

問:
昨日、日銀が金融緩和策を出し、景気は持ち直していると言われるものの先行きに対する不安をぬぐいきれない状況だが、改めて景気の現状認識、不動産市況の現状について伺いたい。
答:
およそ1年前から景気が底打ちし、緩やかながらも回復してきた1年であったと思います。要因としては、製造業を中心に多大な努力により在庫調整が進められたこと、中国を始めとするアジア諸国向けの輸出が堅調であったこと、政府による様々な景気刺激策が寄与したこと、この3点により着実な回復を見せていると思われます。一方、各種経済指標を見ると、回復傾向はまだら模様と感じております。また、個人消費や雇用情勢など回復の兆しはあるものの、CPIはやや低い水準にあり、本格的な回復には至っていないものと思われます。そういう中で昨日、日銀から新型オペの金額増額の発表がありましたが、金融政策の面では、日銀が早い段階から対策を講じていただいていることにより安定化しており、今後も必要に応じて追加施策を取っていただくことで、景気の回復にプラスに働くものと認識しています。
不動産については、目に見えた回復には至っていないものの、ミクロ的な観点から見れば、マンションの契約率が底打ちし回復に転じており、マンション用地の取得に動きが見られます。また、投資用不動産については、3年前は外国人投資家が40%程度占めていたものが直近では24%程度と低い水準にあること、価格においても需給面で折り合いに至っていないという状況にあります。ただ一方で、金融面での懸念が薄れたことから、価格が合意できる水準を見出せれば市況が回復し、取引も動き出すのではないかと思われます。実際に半年前と比較すれば、相対的に回復しているものと認識しています。

受益証券発行信託

問:
先ほどの振り返りでも話題に上った信託の更なる発展という面で、例えば受益証券発行信託など、協会もしくは個社として新たな動きなどについて伺いたい。
答:
受益証券発行信託は、平成19年に施行された改正信託法にて認められた概念で、例えば、金銭以外のものを原資産とする受益権が有価証券として扱うことが可能となります。先般の東京証券取引所の上場規則改正により、従来のETFでは金商法上の登録業者しか委託者になれませんでしたが、商品現物を取り扱う業者なども委託者となれることになり、今後は、貴金属などの商品現物を取り扱う業者が委託者となる受益証券発行信託を使ったETFが広がると考えています。また、外国株式を原資産とする所謂JDRなども既に上場可能になっており、投資家や発行体のニーズが高まれば商品化に結びつくものと考えられます。貴金属などの商品現物の受益証券発行信託は、個社としても以前より多角的に研究を進めており、機が熟した段階で出来るだけ早い時期に商品化を実現させたいと考えています。

学生の就職人気度

問:
雇用に関することで、大学生の就職先人気ランキングで信託銀行の人気が急上昇しているが、どのように見ているか伺いたい。
答:
幾つかの調査において、信託銀行が上位にあるのは確かです。学生の皆さんがどう考えているかは想像の域を出ませんが、従来から信託銀行は業務の間口が非常に広いと言われております。例えば、年金、不動産、資産運用や国際業務など様々なものがあり、志望される学生の皆さんから見ると、この点が評価をいただいているのではないかと思います。加えて、信託は信頼をベースにしたビジネスであるという点で、非常にヒューマンな仕事であり、そうした点が今の学生の皆さんに受け入れられているのではないかと感じています。

日銀の金融政策

問:
日銀の追加緩和策が、具体的にどのようなプロセスで今後の回復にプラスに働くか伺いたい。
答:
セーフティーネットの一つ、あるいは調達手段の多様性の確保という面で評価しています。現在の状況では、各金融機関ともに調達面では何ら問題ない状況ではありますが、将来に対するある種のリスクがありうるとすれば、センチメントの面も含めて非常に意義が大きいものとして感じています。

暴力団排除条項

問:
暴力団排除条項の参考事例について、昨年の全銀協で定めた預金・貸金庫等の条項に加え、信託契約においても策定に至った背景について伺いたい。
答:
信託の形態であったとしても金融商品であり、多くの方のアクセスが可能なことから、暴力団排除という趣旨に則って、信託においても整備を行っていくというのが基本的な考え方になります。

信頼の確保

問:
学生からも信頼をベースとする点が評価されているとのことだが、この一年を振り返ると残念ながらある社が預かり資産の管理が行き届いていないという理由で協会退会に至ったという事例もあった。信託の信頼の確保という観点で何が大事か改めて伺いたい。
答:
信託業法の改正により、信託の主要な担い手であった信託銀行以外にも信託会社という形態で、事業会社などが新たに参入していますが、参入にあたっては、当局への登録あるいは免許認可申請の過程で適格性をチェックするという枠組みが整っております。その上で、実績を積み上げていくことが大切と考えており、信託協会といたしましては、研修等の機会を通じて協会加盟社に対して啓蒙していくという取り組みを行っており、今後もこうした取り組み全体を継続していくことが大事ではないかと考えております。

議決権行使の開示

問:
金融庁が金融機関、機関投資家に対して議決権行使の開示を強化していることに対して、信託協会として取り組めること、個社の話になるかもしれないが、これによって何か変わることはあるのか。
答:
株主総会における議決権行使結果の開示については、どこまでの開示が求められるかによって技術的に対応が難しいケースもありますが、今回公表された案では、前日までの委任状集計で可決になる場合はそこまでの開示でいいということなので、技術的な問題はないと考えています。ただ、今後の開示規制のなかで、技術的にどうみても対応が困難であると考えられる場合には、対応可能な範囲での開示とすることをお願いしていく必要があると考えています。いずれにしましても、議決権行使結果の開示が求められていくことになれば、証券代行業務を営む信託銀行としてきちんと対応していかなければいけないと考えています。
問:
機関投資家としての立場で賛成票、反対票をどれだけ出しているのかという議決権行使の開示についてはどう考えているか。
答:
信託銀行には銀行勘定と信託勘定の2つがあり、後者の信託勘定でも議決権が委託者にあるものと受託者である信託銀行にあるものがあります。
受託者である信託銀行に議決権があるものについては、コーポレートガバナンスの観点から、事前に賛成票を投じる場合や反対票を投じる場合のガイドラインを定め、これは我々個社だけではなく各信託銀行とも同じですが、それに基づいて、信託銀行が議決権行使をしています。受託者である信託銀行は実質的な株主である受益者の利益のために行動していますので、その精神に基づいた議決権行使のガイドラインを設定し、実際の議決権行使を行い、その結果を開示していくということであると考えています。

以上

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