野中会長定例記者会見

平成23年10月20日

冒頭、上野専務理事より、新しい公益法人制度に対応するため、10月3日に一般社団法人へ移行し、「一般社団法人信託協会」となったこと、また、記者説明会および第6回信託オープンセミナーの開催案内、「信託のすすめ」(著者:永田俊一)の紹介があった。

半年を振り返り

信託協会長の野中です。会長就任から半年が経ち、折り返しをすぎたところですので、これまでの活動状況についてご報告したいと思います。
 4月の会長就任にあたり、広く皆様に信託制度を認知いただき、信託を国民に身近なものにしていく、そのための努力をしていきたい、と申し上げました。その具体的取り組みとして、@社会からの要請に応える信託機能の発揮、A経済社会の活性化に貢献できる新たな信託ビジネスの創出、B信頼の確保の3点を述べました。
 今年度は、一日も早く東日本大震災の被災地における復旧復興を実現することが、我が国の大きな課題であることを踏まえまして、その復興支援に資する要望として、税制改正要望及び規制改革要望を関係省庁へ提出しております。
  税制改正要望では、主要要望として、復興支援に資する信託活用のための税制措置を3項目掲げています。@「国や地方自治体が委託者となる土地信託についての登録免許税等の非課税措置」、A「特定寄附信託制度についての拡充措置」、B「被災地復興案件における担保権信託についての登録免許税の非課税措置」です。また、規制改革要望では、地方自治体が委託者となる土地信託について、「公共施設整備を主たる目的として信託可能にすること」および「金銭も信託可能とすること」を要望するとともに、「不動産取引の早期回復に向けた措置」を掲げています。
 ただいまお話しましたとおり、土地信託については、税制改正要望と規制改革要望の両方で提言をしています。公営住宅の建設や公共施設の再整備にあたっては、国や地方自治体だけでなく、民間のノウハウや資金を活用した支援が不可欠と思います。こうした社会からの要請に対して、信託銀行等の有するノウハウや信託機能を活かした復興支援策として、土地信託が役に立つと考えています。公共施設等の復興にご活用いただけるよう、各方面へ働きかけを行なっております。土地信託は、7月に東日本大震災復興対策本部より公表された「東日本大震災からの復興の基本方針」においても、民間の力による復興の具体的手法として盛り込まれており、期待されていると考えております。震災復興支援に信託機能がより一層活用できるよう、今後とも要望実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
 次に、今年6月に「特定寄附信託」として税制措置が実現した、いわゆる日本版プランド・ギビング信託についてですが、現在、信託各社が取扱開始に向けて、社内での検討を鋭意すすめているところです。信託協会では、各社の取扱開始に向けた諸手続をサポートすべく、税務当局と契約書の要件などについて協議をすすめています。個人が寄附をしやすい環境をご提供できるこの特定寄附信託は、復興に必要な資金を幅広く募る仕組みとしても、役に立つのではないかと考えています。
 また、後見制度支援信託については、昨日最高裁判所から関係団体との調整がととのったとの連絡を受けました。後見制度支援信託は、後見制度における財産管理のために信託制度を活用するものであり、社会への貢献に資する商品と考えています。
 なお、昨年整備されました金融ADR制度については、指定紛争解決機関として業務を開始してからちょうど1年が経過しました。その間、ポスターやリーフレット、ホームページなどを活用し、周知活動に取り組んできました。また、先ほど上野専務から話がありましたとおり、信託協会は、今月3日付けで一般社団法人に移行しました。今後とも、利用者保護の推進及び信頼の確保に向け、地道に活動をしていきたいと考えています。
 以上、これまでの活動状況についてご報告しました。残りの半年につきましても、広く信託が認知され活用いただけるよう、引き続き税制・法制面などの環境整備などに取り組んでいきたいと思います。

震災復興に対する取り組みについて

問:
 復興支援に関し、土地信託はいつ頃から活用され始めるのか。また、特定寄附信託の商品化は具体的にいつ頃を目指しているのか。
答:
 復興支援に関する土地信託については、規制や税制面の問題を解決することが大事だと思います。税制面については、平成24年度税制改正での実現を求めていく考えで、やはり少し時間はかかると思っています。しかしながら、国や地方自治体における復興計画はこれから詳細を詰めていく段階であり、予算措置もこれからという状況であるため、平成24年度の税制改正で認められれば、タイミングとして遅くはないと思います。
 特定寄附信託については、既に各社が商品設計を進めております。この冬より前には各社から具体的な商品がリリースされるのではないかと思っています。
問:
 特定寄附信託について、震災復興にどのように貢献できるか。
答:
 今回の震災において、世界中の人々が感銘を受けたのは、日本人の相互扶助の精神や非常に礼儀正しい精神性を示したことであったと思います。特定寄附信託は、そういう日本人の相互扶助の精神を活かしたものとして、復興支援の資金を集め、適切に寄附をしていくという商品になるものと期待しています。

東京電力への対応について

問:
 支援スタンスについてお聞きしたい。
答:
 個社として申し上げますと、東京電力への支援方針については一切変更はございません。重要な社会インフラである東京電力に対して、資金供給を中心にサポートしていきます。ただ、資金供給の源泉はお客さまのご預金であり、いろいろな動きを見ながら対応していく必要があると思います。
 また、各金融機関はそれぞれ貸出に対する方針・ルールを持っていると思うので、その範囲で対応していくことに尽きると思います。
問:
 債権放棄の考え方について教えてほしい。
答:
 債権放棄ありきで考えること自体、不健全だといった意見に変わりはありません。債権放棄などの状況に至らないようにしていくことが非常に大事だと思います。

欧州の債務問題について

問:
 欧州の債務問題の影響についてお聞きしたい。
答:
 個人の見解を申し上げます。欧州の問題は、世界経済の中で最も注視しなければならない問題です。リーマンショックと違い、金融機関の問題のみならず、各国の債務問題が危機の根底にあり、EU全体の問題として受け止めなければならないと思います。多くの国々に一つの通貨という政治と金融がねじれている状況にあり、簡単には解決しないと思いますが、これが更に深刻な状況になっていくとは思っていません。今後、デクシアより大きな金融機関の破綻や解体はないと思います。日本の金融機関の財務面への影響はそれほど大きくはないと思います。また、信託財産の中に欧州の金融機関やソブリン向けの資産も一部あるかと思いますが、それほど大きな問題にはならないと思っています。みずほにおいても、全く無いとは言いませんが、大きな影響はないと思っています。
問:
 デクシア以上の金融機関の破綻はないだろうとの見通しだが、その根拠はどういうところにあるか。
答:
 金融機関の破綻は国民に非常に大きなインパクトを与えます。よって、欧州の主要金融機関の破綻を避けるべく、EU各国の首脳、中央銀行は適切な対応をとると思っています。

みずほグループの再編について

問:
 みずほ信託銀行の合併を含めたワンバンク化の検討状況についてお聞かせ願いたい。
答:
 個社として申し上げますと、みずほ銀行(BK)とみずほコーポレート銀行(CB)は2013年上期中に法的に合併すると公表しました。信頼回復がみずほグループの課題でありますので、グループ再編の中で、お客さまにとって最も使い勝手が良く、円滑に対応できる組織にすることが重要であると考えております。その中で、信託機能をどう位置づけるかについて検討することは当然のことだと考えています。現状はBK、CBの合併の実現が第一であり、信託機能の位置づけの検討は二の次であると思います。従って、これから検討するという状況で、現時点においては何も決まっていません。

復興における資金需要について

問:
 復興における資金需要について聞きたい。銀行貸出が長期低迷している中、新たな需要はチャンスだと思うが、復興需要をどう収益に繋げていくのか。実際、復興に伴う貸出の増加の兆しが見えているのか。
答:
 復興における資金需要については、二つに分けて考えるべきだと思います。一つは被災地の企業から、もう一つは被災地に工場等を所有していて、被災地以外に本社のある企業からの資金需要です。被災地の企業からの資金需要は、みずほ信託銀行においては残念ながらほとんどありません。大企業が中心ですが、被災地に工場等を所有していて、被災地以外に本社のある企業からは、サプライチェーン再整備など復興関連の資金需要が相当ありました。よって、みずほ信託銀行においては、3月末と比べて、9月末の貸出残高は増加しました。
 また、収益についてですが、当然ながら復興関連の融資ですので、大幅にスプレッドを得ることを期待すべきではないと思います。復興支援における貸出金スプレッドは小さくなっていると思います。
問:
 下期以降はどうか。
答:
 前者の被災地の企業からの資金需要が徐々に生じてくると思います。後者は大企業が中心であり、資金手当てを4〜9月に既に実施しており、それほど伸びないのではないかと思います。

以上

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