若林会長就任記者会見

平成25年04月02日

冒頭、上野専務理事より、本日開催された理事会において、信託協会の新会長に三菱UFJ信託銀行 若林辰雄取締役社長が互選により就任したこと、また、新副会長にみずほ信託銀行 中野武夫取締役社長が、新一般委員長に三菱UFJ信託銀行 徳成旨亮常務取締役がそれぞれ就任した旨の紹介を行った。

続いて、第88回信託大会を4月15日(月)午後3時から経団連会館にて開催し、金融担当大臣と日銀総裁にご挨拶をお願いしているほか、東京大学の道垣内教授に「信託法理とその拡大」と題する講演をしていただくことになっているので、記者クラブの方々にも是非出席いただきたい旨案内を行った。

また、平成25年度の信託研究奨励金の募集を開始したこと、「教育資金贈与信託」のリーフレットを作成したので、取材等で参考にしていただきたいことなど説明を行った。

会長就任の抱負

このたび、信託協会会長に就任いたしました若林でございます。これから1年間よろしくお願いいたします。
  就任にあたりまして若干の抱負を申し述べたいと思います。

第一に申し上げたいのは、わが国が様々な意味で数十年に一度とも言える、変化の激しい時代を迎えようとしている中で、信託の機能を最大限活用して、社会や経済の発展に一層貢献していきたい、ということでございます。

ひとつの事例として、このたび安倍新政権の成長戦略において、信託協会がこれまで長年にわたり要望してきました「教育資金贈与信託」が緊急経済対策と税制改正大綱に盛り込まれ、この4月から取り扱いが可能になりました。
 この商品の意義は、金融資産の世代間移転により消費活性化を促し、もって経済浮揚の一助とするだけでなく、わが国が少子高齢化の急速な進行という社会問題を抱える中、若年層の教育や人材育成のサポートという社会的要請の面でも貢献する、まさに信託らしい商品です。
 これは一例ですが、私どもは信託の特性を生かして、わが国社会・経済における諸課題に対応すべく、ニーズに合った新商品やサービスをタイムリーに提供し、また税制改正や規制改革の要望を積極的に提言していくなど、歴史ある信託の担い手として責任を果たして参りたいと存じます。

第二に申し上げたいのは、私ども信託の担い手が常に強く意識すべきことは、信託は受託者に対する高度な信頼を前提に成り立つ制度であり、その受託者には、「受託者責任」が求められるということです。
 私ども信託の担い手一人ひとりは、一般的な職業人として求められる健全な社会常識・倫理観はもとより、お客様の信頼に応える高い倫理意識を堅持してゆかなければなりません。
 さらに、信託財産の管理・運用者として日々自己研鑽に努め、高度な専門性を発揮するとともに、変化の激しい環境下、種々のリスクに対しても、思慮深く注意を払いながら業務を行うことで、信頼の向上に努めて参ります。

以上、信託協会会長としての抱負を申し述べさせていただきました。
  引続き信託協会の活動につきまして、ご理解、ご支援いただきますようお願い申し上げます。

以下、質疑応答

教育資金贈与信託への期待感

問:
 教育資金贈与信託について、4月1日から各社がプレスリリースし、取扱を開始していると思うが、足元の状況と今後どのようにPRしていくのか、その期待感について伺いたい。
答:
 足元の状況ですが、各社の商品リリースのタイミングが異なることもあって、まだ協会としては、各社の商品の反響について集計しておりません。従いまして、私ども三菱UFJ信託銀行個社の状況をお伝えしますと、現在集計中ではありますが、昨日一日で約600件のお問い合わせがありました。今後のPRですが、各社、税制改正に関する案内等は、既に税制改正大綱が発表された時点から実施しており、各種のマス広告や、特に相続税制の改正等がありますので、それぞれ独自の企画でセミナー等を展開するなど、普及に努めてまいりたいと考えております。

アベノミクスに対する信託銀行の役割・要望

問:
 成長戦略について、足元では、安倍政権のアベノミクスという経済政策が進んでいるが、その点に関しての信託協会・信託銀行の役割、今後どのような点を要望していきたいか伺いたい。
答:
 アベノミクス下で信託協会として何をなすべきかということですが、ご存知のように、昨年政権が交代して、目標としては、デフレ経済からの脱却を鮮明に打ち出しています。その一つが金融政策であり、これは日本銀行の体制変更等にも現れているように、より積極的な金融緩和によって経済浮揚を図ることと、もう一つは、機動的な財政政策です。三つ目が成長戦略ということでありますが、我々民間企業といたしましては、この成長戦略の部分に信託の機能を発揮して、いかに寄与できる商品やサービスを提供できるかということが、我々の使命だと考えております。今回の教育資金贈与信託はまさにその第1弾ですが、ご存知のように、わが国は、特に昨年の痛ましい笹子トンネルの事故に象徴されるような公共インフラの老朽化等が一つの課題となっております。こういったインフラ整備等について信託のスキームを通じて、どのように民間の資金を回していけるかというようなスキーム作りについても、これから業界を挙げて検討していきたいと考えております。

金融緩和政策

問:
 日銀の今後の積極的な金融緩和政策を期待できるとおっしゃいましたが、一方で、悪い意味での金利上昇、長期金利の上昇等の副作用的なリスクが出てくると思うが、どうお考えでしょうか。また、信託銀行、邦銀を含めた国債保有への影響等をお聞かせ下さい。
答:
 2%のインフレターゲットを掲げ、金融緩和の強化が進められておりますが、金融緩和による円安が進めば、企業収益の改善等につながるプラスの面もあります。一方で、中央銀行としての信認低下とか、市中金利の急騰という事態は避けなくてはならず、財政規律の視点や財政健全化への道筋を確保するということが、日本経済にとっては大切だと考えます。この点で、黒田新総裁は、「財政ファイナンスはしない」とはっきりと表明されておりますので、その原則の中で、大胆な金融緩和政策を探るという方針だと思っております。
 それから、日本国債の問題ですが、これまで以上にそういったリスクに対する感応度を高めた経営をどうやっていくかがポイントになると思いますので、色々なシナリオを細かく想定し、そのシナリオに基づいたリスク分析をして、適切な対応を都度図って参りたいと思います。

信託の特性の発揮

問:
 信託の特性を生かして諸課題に対応していきたいということでしたが、金融界として見た時に、証券会社や商業銀行と違って信託らしさが出せるのは、どういうところで、どういう風に出していけるのかお聞かせ下さい
答:
 例えば、今回の教育資金の一括贈与に係る非課税措置について、これは30歳の誕生日の1日前までが期限ということですので、例えば、0歳児に資金の贈与を行いますと、向こう30年間、その口座をきちんと管理していく必要があります。一口に30年というと、昨日私どもも150名弱の新入社員を迎えましたが、この新入社員が定年間近になるまで、口座管理をきちんとやっていかなければならないということです。この辺りのノウハウは、信託といういわばタイムカプセルのような器を通じて、長期に渡ってお客様の資産の運用管理を行うという、信託銀行が歴史的に経験を積んできています。こういった分野で、非常に信託としての特性が生かせると考えております。

過剰流動性

問:
 世界的な金融緩和で長短金利差が縮小し、余剰資金がいろいろな資産へ向かっている中、思わぬ歪みが生じているとお感じでしょうか。
答:
 ご指摘のようにある意味で過剰流動性が発生しているという見方もできると思います。わかり易い現象としては、例えば、REITの価格が短期間のうちに急騰したということがあります。ただ昨日のように、短期間のわずか1日のうちに大きく売り込まれるということもありますので、まだ過剰流動性というお金を見る限りにおいては、非常に動きの早いお金であると言えます。不動産を業として扱っている信託銀行として、不動産はこれから値上がりするのか、と問われれば、昨日のような動きを見れば、これは地に足の着いた、日本の不動産市場自体が力強く回復しているとはまだ見れないと感じています。これは結局、経済の回復の度合いを、まさに鏡のように一定時間を置いて反映するということでありますから、本当に今、わが国で言えば、三つの矢で日本経済が力強く回復して行けば、その時点で本格的に不動産市況も回復してくるだろうと思います。ですから、世界的な金融緩和で、少し余剰気味の資金が様々な投資機会を求めて、短期に世界中を動き回るという現象は間違いなく起きると思います。その意味でも、先ほど申し上げたリスク感応度というものを非常に高めて、銀行経営にあたらなければならないと思います。

公共インフラ整備への信託スキームの活用

問:
 信託スキームを通じて公共インフラ整備にどのように民間資金を回していくか、これからの検討課題だと思うのですが、もう少し何か具体的に、今、案があるのであれば教えて欲しい。
答:
 今、まだ具体的には申し上げられないのですが、例えば、過去には、貸付信託という非常にメガヒットした商品がありました。これは、設備投資意欲がまだ旺盛であった頃の日本の各産業に長期の資金を供給するという、非常に大切な役目を果たしましたが、そういったものをイメージしたような商品設計が、今の環境下で、どういう分野に民間の資金が積極的に回っていくような商品設計をするか、これは業界を挙げて今後知恵を絞って考えていかなければならないと思っています。

以上

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